松本―新島々間を結ぶアルピコ交通(松本市)上高地線の2012年度の乗客数は155万人と前年度に比べ4%増え、13年ぶりの高水準となった。市職員などの定期利用を取り込んだほか、イメージキャラクターによるPR効果もあって増加基調にある。全国のローカル線が苦戦するなかで健闘しており、注目を集めている。
定期外の乗客数も54万人と前年度比6%増、2年連続でプラス。天気に恵まれて上高地・乗鞍に向かう観光客などの利用が好調だったほか、昨年春からアニメ風のイメージキャラクター「渕東(えんどう)なぎさ」を使ったPRを進めたことも集客に貢献した。
名前の由来となった渚(なぎさ)駅の駅名板を昨年9月にキャラクターをデザインしたものに変更したほか、イベントも開いた。「アニメファンと鉄道ファンは近い」(藤松美徳鉄道事業部長)という。
松本市は2010年からマイカーを利用しない「エコ通勤」を奨励しており、アルピコ交通によれば2012年度の松本市職員の利用は70人と前年度比で20人増えた。割引率を高めるかわりに囲い込みを狙った12カ月定期を2011年度から投入したことも沿線の松本大学の学生などの利用増につながった。
上高地線の売上高は2013年3月期で3億8000万円強で、黒字経営を続けている。第三セクター、私鉄の別を問わず地域鉄道の経営はどこも厳しく、国土交通省のまとめでは2011年度には、92社中69社が経常赤字だった。こうした中、国交省が3月に開いた「地域鉄道の再生・活性化等研究会」の会合では、同社が成功事例として取り上げられた。
上高地線はピーク時の1965年度の乗客数が343万人。その後はバスやマイカーなどに押され、2006年度に131万人まで落ち込んでいた。