中国の映画会社などで構成する中国映画著作権協会は近く、映画著作権の利用料徴収に乗り出す。違法ダウンロードや海賊版ソフトで映像コンテンツを提供する業者のうち、まずネットカフェと長距離バスを対象とする。
このほど国家版権局に提示した著作権利用料の徴収基準を周知させる公示期間が満了、正式許可が出次第、徴収を始める。
同協会は分野別に料金を設定。ネットカフェなら「パソコンの台数×ネットカフェの1
時間当たりの利用料金×7.5%」といった算式で1日当たり利用料を算出する。
中国のニュースサイトの中財網によると、中国全土ネットカフェは約15万軒。業界全体の利用料は年間10億元(約124億円)に達する見込み。協会は徴収利用料の10%を管理費に充て、90%を協会会員の著作権者に分配する。
中国では以前から、著作権者の許可なく、映像コンテンツを有料で提供する事業者が多いことが問題となっている。
2010/09/01, 日経産業新聞より
アニメなどの日本文化を産業化しようとする試みが盛んだ。独創性や創造力がカギになる。異能の人物や奇才をどう発掘、活用するか。生きた文化が勝負の異能経済では何が花開くか予測できない。才能の自由市場こそが求められる。
埼玉県久喜市の鷲宮神社に今年、45万人の初詣で客が訪れた。4年前の5倍に増えた理由は、女子高校生の日常を描くテレビアニメ「らき☆すた」。中心となる4人組のうち2人が神主の娘という設定で、モデルになったこの神社も毎回登場する。
このアニメは「Lucky Star」の題でインターネットを通じ海外にもファンを広げた。ファンが登場人物を描いて神社に奉納した絵馬には、英語や中国語、韓国語の書き込みも珍しくない。
かつて米国は映像文化を通じて米国のライフスタイルを世界に浸透させた。ホームドラマを見た日本人は大型冷蔵庫やマイカーにあこがれ、青春映画を通じコカ・コーラやジーンズにしびれた。ジャズやロックにもなじみ、ニューヨークやロサンゼルスをいつか観光したいと願った。
いま日本のアニメや漫画は、当時の米国映画と同じ位置にある。パリで毎夏開かれる漫画やアニメの見本市「ジャパンエキスポ」に、昨年は16万人が集まった。米国やアジアでも同じような催しが人を集める。
アニメ人気はファッションにも波及し始めた。作品に登場する服を扱うネットの通信販売では、1~2割が海外からの注文という店もある。キャラクター商品の代表「ハローキティ」をあしらった雑貨もアジアや欧州の女性たちが愛用する。
文化の競争力を支えるのは人材だ。若者が才能を発揮できる場が欠かせない。同人誌や自作模型の即売会は日本各地で盛り上がり、海外からの参加者も多い。出版社や雑貨会社もここで人材を探す。ある漫画同人誌の即売会は56万人を集め、東京モーターショーの62万人に迫る。
単発的なヒットや新進企業の取り組みをどう広げるか。長期停滞といわれる時代に、内外でかえって日本人の創造性に関心が高まった。せっかくの好機を生かす企業の知恵が問われる。
2010/05/17,日本経済新聞 朝刊より一部要旨
最先端の若者ファッションがあふれる東京・原宿。スカートのすそを翻し、さっそうと歩く若者が1人。よく見れば男性だった。女装ではない。他人とはひと味違う、おしゃれなアイテムとしてはく「スカート男子」だ。
性別を超えたファッション「クロスジェンダー」流行の一環で、海外のコレクションの動きが飛び火した側面もある。メンズ専用商品を扱うネット通販も登場し、愛用者がじわり増える気配を見せている。
神奈川県在住の男性(22)は、愛用しはじめた理由を「好きなブランドが新シーズンにスカートスタイルを提案したのがきっかけ」と話す。この日はグレーのスカートの下にチェックのパンツを合わせた装い。
都内在住の男性(19)は、キルト風のチェックスカートを古着をもとに手作りした。現在3枚のスカートを所有し、高校生のときからはいているという。周囲の反応は「似合う」「隣を歩きたくない」と真っ二つに分かれるが、本人に抵抗感は全くない。
スカート男子の人口密度が高い原宿では、外国人のスカート男子も闊歩している。最近は銀座など他の繁華街でも、愛用者の姿が見られるようになった。
原宿の女性ファッションの専門店では、昨夏にメンズを扱い始めたのと同時にスカートの販売を開始。店長は「週に3枚のペースで、売れ行きは順調」と話す。最近はレギンスの上にはくスタイルが流行のようだ。
「アイテムは最近増えており、男性向け商品が普通に出回るようになってきた」「今年の秋冬にかけてはく人が増えるのでは」と予測する。
そもそもスカート男子増殖の兆しは2~3年前にあった。都心の古着店などで、女性用のスカートをファッションアイテムとして購入する若い男性が現れはじめたという。その後、「ヨージヤマモト」や「ジバンシィ」といったブランドがメンズのスカートを相次いで発表したことで、一気に認知度が高まった経緯がある。
マーケティング情報誌の編集長は「大手ブランドが扱うデザインは似通ってきており、商品の同質化が進んでいる」と指摘する。「他人と同じではつまらない」と感じるファッションに敏感な若者らが、こうした流れに風穴を開ける気持ちで飛びついたとみる。
では、スカート男子は時代のあだ花なのか?
今後もはき続けたいかという問いに、愛用者たちは「もちろん」と口をそろえる。「親だって否定しない」という声さえある。
一見、奇抜に見えるスカートだが、一度はいてみれば、その解放感やオリジナリティーのとりこになるのかもしれない。
2010/05/07,日経MJより
東京大学の篠田裕之准教授らは、手のひらや指先に物体が当たったような感触を超音波で作り出し、立体映像に触感を持たせる新技術を開発した。ゲームをはじめ、新タイプのタッチパネルなど様々な応用が可能とみている。
新技術は立体映像の表示装置と超音波を出す装置、手の位置を検出する赤外線カメラを連動させる。立体映像が手に接するところに超音波を集中して、映像で描いた物体が手に当たったような感触を作り出す。
小さな振動子約300個で超音波を出す装置を構成。最大約1.6グラムの物体が当たった感触を作り出せるという。
アニメで描いた雨粒の立体映像の下に手を差し出すと、雨粒が当たったように感じられ、本当にはじけ散ったように見える。小さなゾウの映像は手の上で実際に走り回っているように感じられる。スイッチボタンの映像に触れようとすると、本当に押したような気がする。
研究グループは娯楽装置のほか、駅や病院で需要がありそうな非接触のタッチパネルなどへの応用が期待できると考えている。今後、「ざらざら」や「つるつる」など多様な感触を表現できるよう工夫する。
2010/05/03,日本経済新聞 朝刊より