東京大学の篠田裕之准教授らは、手のひらや指先に物体が当たったような感触を超音波で作り出し、立体映像に触感を持たせる新技術を開発した。ゲームをはじめ、新タイプのタッチパネルなど様々な応用が可能とみている。
新技術は立体映像の表示装置と超音波を出す装置、手の位置を検出する赤外線カメラを連動させる。立体映像が手に接するところに超音波を集中して、映像で描いた物体が手に当たったような感触を作り出す。
小さな振動子約300個で超音波を出す装置を構成。最大約1.6グラムの物体が当たった感触を作り出せるという。
アニメで描いた雨粒の立体映像の下に手を差し出すと、雨粒が当たったように感じられ、本当にはじけ散ったように見える。小さなゾウの映像は手の上で実際に走り回っているように感じられる。スイッチボタンの映像に触れようとすると、本当に押したような気がする。
研究グループは娯楽装置のほか、駅や病院で需要がありそうな非接触のタッチパネルなどへの応用が期待できると考えている。今後、「ざらざら」や「つるつる」など多様な感触を表現できるよう工夫する。
2010/05/03,日本経済新聞 朝刊より
上海国際博覧会(上海万博)に出展する日本産業館は26日、報道陣に館内を初公開した。
日本の現代文化としてアニメやオタク文化を映像で紹介。自国の歴史や文化を手堅くまとめるパビリオンが多いなか、「世界一トイレ」や「6ツ星料亭」など異彩を放つ展示で評判を呼びそうだ。
館内の劇場は再生紙を使った紙管で壁面を作り、縦18メートル、横10メートルの巨大なスクリーンの映像には先端技術や風光明媚な景色に加え、人気アイドルグループ「AKB48」が登場。「ケータイ文化」や「メイド喫茶」のほか、「機動戦士ガンダム」の等身大像なども紹介し、日本の今が分かる内容になっている。
館外の高さ20メートルのパイプ足場には、ロボット「夢ROBO」3体を設置。20分で上り下りを繰り返し、「休まずに働く日本のサラリーマンの勤勉さ」を象徴する。
きれいで高級な「世界一トイレ」を設け、京都の「菊乃井」など有名料亭3店が共同運営する高級料亭も出店する。同館の総事業費は30億円。
2010/04/27,日本経済新聞 夕刊より
東京都の青少年健全育成条例改正をめぐる試論が続いている。「非実在青少年」と定義された登場人物の性行為は子供に害を与えるのか。
アグネス・チャンさん(日本ユニセフ協会大使・歌手)
東京都は既に1964年から「不健全図書」の規制を始めている。今回の改正案は18歳未満の子どもたちの手に渡らないようにしているだけ。私も表現者ですから、表現の自由の大切さは身にしみている。条文を読めば、子どもに有害なものだけを問題にしていることは分かるはず。明らかに子供と思われるキャラクターが性的な虐待を受け、うれしがるマンガがコンビニなどに並んでいる現状を放置していいのか。
マンガやアニメは現代日本が誇る文化であることに異論はないが、そのなかにひどい「ロリコン」マンガが混じっており、現在の条例では成人指定が出来ない。
インターネットで世界中に広がり、日本が「ロリコン」大国の汚名を着せられてはたまらない。
子どもの性虐待を描くポルノを子どもが見てしまうことの問題は2つ。
ひとつは子供という存在自体をおとしめる。これは広い意味での人権侵害。もうひとつは虐待や暴力を受け入れ喜ばなくてはいけないと思い込む誤ったしつけ効果を招く恐れがある。教育に悪影響を与える根拠はあるのかと言う主張には無いとは言い切れない。少なくとも教育上いい効果が期待できるからと進んで子供に見せたいと思う親はいない。
「表現の自由」という美しい言葉で守られるべきものでしょうか。
子どもを性的な道具として見たいという少数の特別な人の「趣味」のために、一部の出版社や作家の商売のために保護されるべき多くの子供たちの健全な発達が脅かされている。東京都という権力が線引きをするのが心配と言うが、ペンを持っている人たちは大きな権力を持って子どもをどんな風にも扱える。現行条例をすり抜けてペンの暴力やペンによる搾取が子どもたちを脅かしている。
決して芸術や文学作品を窒息させるわけではない。子供の性虐待を描いたポルノが子どもたちが容易に手に取れる場所に置かれている現状を考えてみよう。今回の都条例はきっかけを与えてくれるチャンスだと思う。
竹宮惠子さん(マンガ家)
東京都の「非実在青少年」関連の改正案を読んで私の「風と木の詩」はまるごとひっかかってくると思った。
描き始めたのは1976年だが、それまで女の子の性に関わる事項は隠されきちんと性教育がされていなかった。読者の想定は14歳くらい。純愛も性的堕落も虐待もある。現実に起こりうるからこそ描きたかった。
今回都は「ポルノだけを対象としているので大部分のマンガは大丈夫」と説明するが、条文がどう独り歩きするか分からない。将来、図書館で子供の目に触れない閉架に入れた方が後難がないと考えるかもしれないし、書店では万一の摘発を恐れて版元に送り返してしまうかもしれない。条例化することは杓子定規な対応を呼び込みかねない。
マンガは子どもたちに寄り添うカウンターカルチャー(対抗文化)。大人の権威や、胡散臭い領域に突進するのが持ち味。子供の性や欲望は読者の自意識や生き方と深く関る問題として、マンガが追求すべき大きなテーマ。そこへの規制は文化としての根っこが失われる恐れがある。
性の現実は女性にとって暴力性と不可分で、男性にとっては過剰に享楽的なこともある。自分の子供には触れさせたくない無垢なままでと親の気持はわかるが、危険な現実に蓋をして全く触れさせないのが子どもたちにとっていいとは思えない。虚構の形を通してでも知っておくことが大切。
「風と木の詩」はお母さんが「あなたにはまだ早すぎるから読んじゃだめよ」と軽く釘を刺しつつ手の届くところに置いておく。娘さんは背伸びをしている自覚を持ってこっそり読む、そういう伝わり方が理想。
何もかも野放図でいいとは考えていない。露出が高く刺激の強いマンガはそれだけで売れ、出版社や作者がその図式に安易に乗ってしまうと、表現の可能性を自ら狭めてしまう。
現状が十分か議論はあるが、規制に従って成人向けの本は売り場を変えたり帯をつけたり工夫はしている。個々に行き過ぎた作品があるとしても新たな法律や条例を作るのではなく、関係する者が真摯に話し合い現実的な対応を探ることが可能なのではないか。
・東京都青少年健全育成条例改正案は、マンガ・アニメ・ゲームなどに登場する18歳未満と判断される架空キャラクターの性描写を規制する。ランドセルを持つなど18歳未満と思われる登場人物を新語の「非実在青少年」と定義。反社会的な性行為を描写した作品は18歳未満への販売を禁じる。
都議会で民主党などが同意せず、継続審議に。
2010/4/9,朝日新聞東京版朝刊 オピニオン欄より要旨抜粋
専用眼鏡を使って見る最新の3D映像を使った映画について、イタリア保健省の諮問機関は、目に悪影響を及ぼす恐れがあるとして、6歳未満の幼児が見ることを避けるよう勧告した。
同機関はこのほか(1)大人についても専用眼鏡を使った長時間の視聴を避ける(2)眼鏡は1回だけの使い切りとするよう勧告した。
専用眼鏡を通して映像を長時間見ると、目の機能に一時的障害を起こす恐れがあり、特に目の発達が十分でない幼児はこうした懸念が強いと判断した。
2010/03/16, 日本経済新聞 夕刊より