週刊東洋経済2008年11月15日号より。
DSi発表の翌日「新鮮味がない」と投資家の失望売りを誘い株価を7%も下げた任天堂だが、発売日には都内各所で「完売状態」になるなど消費者からの人気は高い。
しかしDS Lite発売時の熱狂ぶりに比べれば、騒ぎもちついたもの。世界累計販売台数8400万台を誇るニンテンドーDSシリーズも、国内普及台数は限界といわれる2000万台以上、1世帯に1.8台まで広がり国内販売は明らかに頭打ちになっている。一方のライバルPSPの新モデルでは、高画質を武器にDSに物足りなさを感じたユーザーを取り込んでいる。
新型DSiではカメラ内蔵といえ、30万画素と携帯にも劣る。その見た目のスペックの見劣り感から投資家などからは「任天堂神話もここまで」と冷ややかな視線が送られる。
しかし任天堂は「1人1台」を本気で狙っているフシがある。その強気の裏づけが本体内蔵の256MBメモリーだ。
従来型はゲーム用に小容量のフラッシュメモリーしか搭載していなかったが、DSiではソフト自体を本体に内蔵できる。これにより任天堂はダウンロード販売などのネットビジネスに道を開いた。パッケージ販売の流通コストがダウンロードで軽減される事を歓迎している。もちろんゲームショップなどは心穏やかではないだろう。
もう1点は生活分野での専用ソフトの充実により、主婦やサラリーマンやお年寄りなどユーザー層が広がる事だ。
既存の枯れたローテク技術の原価率の低いハード、高採算の自社ソフトは任天堂にとって成長の牽引車だ。ハードが2割、自社ソフトは7割の利益率といわれる。
製造はミツミ電機などの外部委託で事実上のファブレス経営も高収益を支える。
DSとWiiの絶好調の両輪で、円高に苦しみながらも売上高2兆円、営業利益率30%超を見込んでいる。
それでも任天堂は過去の「ゲームキューブ」での苦戦など忘れたわけではなく、「永久に好調を続けた会社はない、いつか次のラウンドがやってくる」(岩田社長)と、手綱は決して緩めない。
iPhoneやケータイ、PSPともセグメントの違うDSiは山内相談役の口癖「娯楽はヨソと同じがいちばんあかん」を形にし、任天堂は娯楽の未開拓地域へ向かおうとしている。
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