書籍販売大手の丸善は中国の電子書籍最大手である北大方正集団(北京市)グループと提携する。今秋以降にマンガや専門書などのコンテンツを相互供給し、日中で電子書籍事業を共同展開する。合弁会社設立も検討しており、提携事業で5年後に合計で年300億円の売り上げを見込む。
北大方正はシステム開発・パソコン製造の中国大手で、50万点のコンテンツを販売する同国最大の電子書籍サイトも運営している。2009年度の売上高は480億元(約6000億円)。
丸善が日本の出版社から調達したマンガなどを中国語に翻訳して10月から北大方正に供給、中国で携帯電話向けに配信する。中国側は歴史など各分野の研究機関が発行する中国の専門書を北大方正が電子化し、来春から丸善がまず原文のまま国内でパソコン向けに配信。中国の文芸書やマンガは日本語に翻訳して追加する。
両社は日中で計65万点のコンテンツを提供する計画。提携事業を手掛ける合弁会社を、日中それぞれに設立する方向で検討している。
大日本印刷グループの丸善は10月から国内で電子書籍事業を始めるほか、シャープや紀伊国屋書店なども参入計画を打ち出しており、競争が本格化する。丸善は北大方正との提携で、マンガから学術書まで幅広い分野のコンテンツを確保し日中で顧客を確保する。
2010/09/02, 日本経済新聞 朝刊より
大日本印刷(DNP)の傘下にある書店チェーン大手、丸善書店とジュンク堂書店は共同で2012年1月までに売り場面積が3千平方メートル前後の大型店を10店出店する。共同ブランドの店を中心に首都圏や地方の県庁所在地を中心に新設、同時に小型店数店を閉める。販売効率の高い大型店で生き残りを目指す。
9月2日に共同ブランド店「丸善&ジュンク堂書店」の1号店を東急百貨店本店で開業する。その後、広島県、福岡県、福島県など全国で順次開設。近隣に両社の店舗がない地域では共同ブランドで出店するが、近くに丸善ブランドの店舗がある場合はジュンク堂を単独で出店するなど、両社で調整しながら効率良く市場を押さえる考え。
同時に丸善書店の小型店を対象に10店未満を閉鎖する。10店の新規出店と小型店の閉鎖で、売り場面積は最大で現在よりも20%程度広がる見込み。総投資額は最大約100億円(書籍の購入費用含む)の見込み。
DNP子会社のCHIグループの2社は、大型店を柱に経営規模を拡大し販売効率を高めると同時に取引条件の改善を進め、低迷する書店事業をてこ入れする。
丸善書店とジュンク堂の合計の店舗数は80店で年間売上高は約800億円。カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が展開する「TSUTAYA」(店舗ベースの売上高で約900億円)に次ぐ業界2位の規模となる。
一方では電子書籍の需要が拡大の兆しを見せているうえに、米アマゾン・ドット・コムに代表される書籍のネット通販が勢力を拡大し、中小書店の経営は厳しくなるのは確実。大型店化が進む中で、書店の淘汰が加速しそうだ。
2010/08/28, 日本経済新聞 朝刊より
「日本語ができる中国の若手編集者が多いことに驚いた」。角川グループホールディングス(GHD)の佐藤辰男社長は感慨深げに話す。中国・広州市に設立した合弁企業の現地社員にどう勉強したのかと聞くと「角川書店など日本のライトノベルやマンガで学んだ」との言葉が返ってきたという。
悩ましいのが「彼らが買ってきた小説やマンガが海賊版だったこと」。合弁事業で正規版を中国の若者に届け、海賊版の排除に取り組む体制ができる。現地での作家育成にも力を入れる。「自分たちが愛読したような作品を生みだせる。そんな意欲にあふれている」と目を細めた。
2010/08/27, 日本経済新聞 朝刊より
NTTドコモと大日本印刷が提携し、電子書籍事業に参入する。年内にも電子書籍端末やスマートフォンに配信するサービスの開始を目指す。両社は配信から課金まで一貫して手がける事業会社の設立も検討する。
iPad人気もあって消費者の関心が電子書籍に集まっており、市場の拡大が見込めると判断した。
ドコモの参入により携帯3社が出そろい、コンテンツ提供者を巻き込んだ各陣営の競争が激しくなりそうだ。
事業会社の詳細は今後詰める。ドコモは自社の携帯電話回線が使え、無線機能も備えた電子書籍型端末を年内にも発売する方針。自社端末を中心に、大日本印刷が出版社などとのパイプを生かして調達するコンテンツを供給する。端末については、国内外のメーカーに対応機種の提供を求める。
大日本印刷は10月をめどに電子書籍の販売事業を始める方針を打ち出していた。コンテンツの調達や卸売事業で協力するほか、今後は大手出版社などにコンテンツの提供を呼びかけていく。
電子書籍事業には端末、通信回線、コンテンツ制作、配信・課金といった機能が必要になる。出版社、印刷会社、通信会社、端末メーカーが垂直統合型で連携するビジネスモデルの模索も始まった。KDDI、ソニー、凸版印刷、朝日新聞社は4社連合での電子書籍事業参入を決めている。
ドコモは大日本印刷と2社間の提携にとどめ、利用できるコンテンツの提供者や端末については限定しない考え。
電子書籍用端末を巡っては端末開発が先行しているが、通信会社などとの連携による商用化の動きも加速してきた。コンテンツ保有者や端末メーカーは提供先を広げることを目指しており、各陣営の競争と並行して合従連衡も進みそうだ。
2010/08/03,日本経済新聞 夕刊より
2009年の国内出版市場は、前年比9.1%減の2兆5271億円だった。経費削減を進めた企業が広告費を絞り込み、フリーペーパー、フリーマガジン向けを含めた雑誌広告が22.4%減の5915億円と大幅に縮小。下げ幅は2008年の4.5%から拡大した。
広告不振の直撃を受けたのがリクルート。首位を守ったもののシェアは12.6%と前年から2.6ポイント下げた。採用を抑制した企業が、求人広告を減らしたため。
出版市場は販売額でも低迷が続き、書籍は前年比4.3%減の8492億円、雑誌は同3.8%減の1兆864億円で、21年ぶりに2兆円を割り込んだ。集英社や小学館など2位から5位まではシェアを上げたが、リクルートのシェア低下による相対的なもので、金額ベースでは4社とも前年から売上高を減らした。
その中で堅調だったのが2位の集英社と5位の角川グループホールディングス(GHD)。集英社は収益性が高い女性誌やマンガなどが貢献。マンガは「少年ジャンプ」の販売が持ち直したほか、女性誌も各年齢層で支持を集め、他社より売り上げの落ち込みが小さかったようだ。角川GHDはライトノベルなど、若年層向けの作品が堅調だった。
2010/08/03, 日経産業新聞より