アニメニュース Japanimate.com―2008年11月20日の記事一覧

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漫画ヒーロー列伝―時代劇、脱浪曲で多様化

いしかわじゅん氏による、日経夕刊連載第3回。

赤胴鈴之助・カムイ・織部…時代劇ヒーロー

日本人には馴染み深い浪曲講談の時代から時代劇は人気があり、戦後漫画でもスーパーヒーローが登場した。
「赤胴鈴之助」は1954年、戦後の混乱が落ち着いてきたころ登場した。漫画が大ヒット、次はラジオドラマになりテレビドラマになり映画になりキャラクター商品が発売されと、今でいうメディアミックスでヒットを大きくした。

1961年には少年サンデーから「伊賀の影丸」が現れた。赤胴鈴之助は浪曲講談の影響が強かったが、影丸は対抗戦方式を取り入れチームを組み強い相手と闘って勝ち上がっていくという、現在の少年漫画の原型がここで確立した。
1964年に「カムイ伝」が登場する。江戸時代を舞台に階級闘争を描いた群像劇だ。70年安保当時はバリケードの中の学生が、みんなこれを読んでいたのだ。
並行して1967年には、さいとうたかをの劇画「無用ノ介」も現れる。劇画という新しい表現、これまでの時代劇とは違うマカロニウェスタンのような活劇であった。

1970年からは「子連れ狼」の拝一刀が現れる。体制側の柳生一族に楯突く闘士である。
漫画は大ヒットし、テレビドラマと映画になり、主題歌までヒットするブームとなった。類似の時代劇漫画が漫画誌で量産され、時代劇ブームを引き起こした。
この「子連れ狼」はアメリカに早い段階で輸出され、ロングセラーとなり、後にアカデミー賞にもノミネートされたハリウッド映画「ロード・トゥ・パーディション」のモチーフにもなり、アメリカの漫画好きには評価された作品であった。

この後、ブームの反動から時代劇は描かれない時期が続いた。しかし1994年から少年ジャンプで始まった「るろうに剣心」が、単行本累計5000万部を売るメガヒットになり、また時代劇が増え始めた。かつての時代劇とは違い、どこか知らない国の物語のようだった。ゲームやアニメの影響か、剣と魔法のヒロイック・ファンタジーを日本の時代劇で描いたような物語が多かったのだ。

本格時代劇がまた始まったのは1998年。「スラムダンク」の後の作品として井上雄彦が吉川英治の「宮本武蔵」を選び、「バガボンド」として連載をスタートさせた。
吉川武蔵を大胆にアレンジした作品は、連載開始10年にして未だ先が見えない大河連載である。
「へうげもの」は、織部焼に名を残す古田織部の物語である。織部は茶碗がほしい、茶入れがほしい、釜が欲しいと、もう物欲の塊で、彼の視点から、信長、秀吉、家康の時代を描いていく。

2008/11/20, 日本経済新聞 夕刊より



クールジャパンの憂鬱、収益面の課題―アニメ制作、委員会方式で取り分減る

アニメやゲーム、漫画など、現代日本文化が世界で存在感を高めているものの、上場企業の業績は伸び悩んでいる。

1995年に劇場公開された「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」は、海外でも評価が高く、DVDは日本で30万枚、海外で130万枚売れた。
しかしソフトがいくら売れても作品を制作したIGポート(旧プロダクションIG)の収益にはほとんど貢献がない。
制作当時は財務に余裕がなかったIGは、制作を請け負っただけ。プロジェクトの共同出資者になれず、作品から上がる収益に対する権利はプロジェクトに出資した大手出版社などが保有しているためだ。

アニメ市場は内外で拡大してきたが制作会社の業績はさえず、東映アニメなど主要上場6社の経常利益は2007年度に31億円と、直近ピークの2005年に比べ約三分の一以下になった。
制作方式の変化がその背景にあり、作品ごとに「製作委員会」を作る手法に変わり、制作会社の取り分が少なくなるケースが増えてきている。
かつてアニメはテレビ局や玩具メーカーの資金で制作され、制作会社も多いときには権利の半分以上を持った時代がある。
ところが「委員会」方式のもとでは広告代理店や出版社などへ出資企業の幅が拡大し、制作会社の出資力の制約などもあって、持っている権利は、全体の10%前後に落ちているとみられる。

アニメ制作ベンチャーのGDHは制作会社の「復権」を理想に掲げ「脱下請け」を目指し自らファンドを組成。制作を主導し、収益の取り分を増やす試みに挑戦したが、不調に終わった。
借入金も組み合わせ、出資比率を3-5割に高めたがヒットが出ず、前期は30億円超の赤字で、今期で三期連続の赤字となり投資ファンド傘下で再建中だ。

委員会方式はリスク分散が効き、制作を容易にする利点もあるが、本数の増加で「一本当たりの売れ行きが小粒化した」(東映アニメの大山秀徳常務)こともGDHに逆風だった。
コンテンツビジネスで世界的大ヒットの収益に巡り当たるには根気よく出資を続ける必要があり、制作会社の財務力では限界もある。
民放テレビ局各社は番組制作費を軒並み削減。今後は制作本数の減少も予想され、ほかに収益源を持たない国内の制作会社は「淘汰の時代」(みずほ証券の小山武史アナリスト)を迎えると指摘されている。

その中でIGは原作の版権を押さえヒット時の取り分を増やす狙いで、昨年末に漫画出版社を買収した。海外での権利ビジネスに必要な法務部門の強化にも動き「逆風下、ビジネスの幅を広げ生き残る」と新たな企業形態の模索をはじめている。

2008/11/20, 日本経済新聞 朝刊より



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