エンターブレインによると、昨年末から今月13日までの約1年間に発売された新作ゲームソフトの販売本数上位10本のうち、シリーズ作品でなかったのは任天堂の「トモダチコレクション」だけだった。
背景にゲーム市場の縮小がある。作品によっては数十億円にのぼるソフト制作費は「確実に売れる」商品に、経営資源を投入せざるを得ない。あるゲーム会社の中堅社員は「社内でも新作をつくりづらい雰囲気」と打ち明ける。
成長が見込める海外市場を意識した作品も多い。セガが10月に発売したアクションゲーム「ベヨネッタ」は「海外市場を意識した」(鶴見尚也取締役)といい、海外で普及するPS3やXbox360に対応した。バンダイナムコゲームスも来年は、海外向けを中心に新作を投入する計画。
ゲームプラットフォームが専用機から携帯電話などに多様化し、開発費などの参入障壁も低くなり、海外勢や中小の企業も相次ぐようになった。
コストを抑え、新しい大作に挑戦できる経営基盤をいかに構築できるかが、ゲーム各社にとって最大の課題。
2009/12/17,日経産業新聞より
アニメ映画「ワンピース」の好調で映画制作・配給の東映の株価が上昇傾向に転じている。
「これほどの興行収入を記録するとは誰も予想していなかった」と東映宣伝担当者はうれしい悲鳴を上げる。12日に全国188館で公開した「ワンピース フィルム ストロングワールド」は週末の2日間で10億3800万円の収入を上げた。これは実写を含めた同社作品で最多だ。すでに前作の「ワンピース」劇場版(昨年3月公開)の収入(9億2000万円)を上回っており、当初目標の20億円の達成は確実で最終的には約50億円を見込んでいる。
今回のワンピースは映画10作目。これまでは漫画を基に映画化してきたが、今回は原作者が初めて映画向けに物語を書き下ろした。
だがヒットの秘訣はそれだけではない。テレビでは毎週日曜日にフジテレビジョンが放送しており、そこで公開4週間前から映画の“前編”ともいえるストーリーを放送。視聴者の関心を高めた。「これまでの東映にはなかった手法だ」と業界関係者はみる。
東映の株価は今年2月に年初来安値の363円を記録。その後6月公開の「劔岳 点の記」の興行収入が今年最大のヒット作との期待感から8月にかけて上昇、年初来高値となる555円も同月に記録した。8月以降はヒット作が乏しく株価は軟調に推移。それだけに新作映画「ワンピース」の好調が続けば、年初来高値をうかがう展開も予想される。15日の終値は前日比3.1%高の495円だった。
これまで東映はテレビ局と連動した作品や、製作委員会方式にあまり力を入れていなかったが、今回の「ワンピース」では積極的に導入した。あるアナリストは「制作コストも減ったうえ、テレビ局と組んで安定した収入を稼げる戦略が根付き始めた」と話す。
今後の収益向上のカギはターゲット層の拡大だろう。これまで得意としていた子ども向けとシニア向けだけでなく、30~40代が楽しめる実写映画の強化が必要だ。
これに向け、2010年5月には音響や映像などデジタル式編集棟を東京撮影所(東京・練馬)内に完成させる予定だ。立体的な映像を楽しめる3D映画などで、30~40代の層をいかに掘り起こせるかが、今後の株価を左右する。
2009/12/16,日経産業新聞より
東映は東京撮影所(東京・練馬)内のスタジオ「第6ステージ」を改装オープンした。照明や防音設備などを刷新、アクションシーンを撮影する際に使用するワイヤのレールも設置した。
「第6ステージ」(約850平方メートル)は、16カ所ある同撮影所のスタジオの中で最大規模。2008年12月に着工し、約20億円かけて改装した。他に倉庫棟や撮影スタッフらが常駐する施設も新たに建設した。
建設中の「デジタルセンター」(地上4階建て)は来年5月に完成する予定で、音響や映像など先端デジタル機器を導入する。デジタルデータで合成や色彩調整ができる装置や大規模な試写室も作る。撮影からCG作画、効果音編集まで一貫して制作できるという。一連の投資額は52億円。
2009/12/15, 日経産業新聞より
ソニー・ミュージックエンタテインメントのアニメ制作子会社のアニプレックスなど7社は2010年春から、太宰治など文豪5人の短編小説6作品をドラマ化し、地上波などで放映する。同年夏には6作品を基にした映画も公開する。小林多喜二の小説「蟹工船」など古典文学が脚光を集めていることに着目した。
ドラマの企画名は「Bungo―日本文学シネマ―」。展開する短編小説は太宰治の「黄金風景」「グッド・バイ」、芥川龍之介の「魔術」、森鴎外の「高瀬舟」、梶井基次郎の「檸檬」、谷崎潤一郎の「冨美子の足」。
佐藤隆太さんや水川あさみさんら若手俳優を中心に手掛ける。TBS系列地上波とBS―TBSで各30分の番組として放送するほか、ネットでも配信する。
映画化する作品の内容や公開劇場数などは今後詰める。
視聴者の反応を見て、第2弾となるドラマの制作も検討する考えだ。
2009/12/15,日経産業新聞より
ロシアで日本アニメの人気が高まっている。モスクワ市内では日本の漫画やアニメ専門店が登場した。
モスクワで今夏に封切りされた「崖の上のポニョ」を見るため、多くの子どもや若者が映画館に足を運んだ。繊細なデザインやストーリーがモスクワっ子の心をとらえている。
「『風の谷のナウシカ』を何十回も見た」と語る学生は、「ナウシカの勇気と優しさにひかれる」と言う。「ロシアや米国のアニメにない複雑なストーリー展開と魅力的な主人公が日本アニメの人気の理由」と説明する。
宮崎監督の作品はこれまですべて見ており、アニメをさらに理解するために日本語の勉強も始めた。
日本アニメを語り合うインターネットサイト「アニメフォーラム」に2万人超が登録するなど、日本アニメの人気は広がりつつある。
ブームは関連産業にも広がり「モスクワのアキハバラ」と言われる電気街ガルブーシュカでは、日本アニメの主人公の玩具やプラモデルなどを扱う専門店が登場。玩具やTシャツなどは日本から輸入している。
「子どもだけでなく、日本アニメに熱中している大人が多い」と、売り上げは好調という。
2009/12/13,日経MJより