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「アニメ問題」で複雑化、児童ポルノ禁止法改正案審議

「児童買春・児童ポルノ禁止法」の改正案について国会審議が始まった。
児童ポルノの拡散を防ぐための買い手の規制が焦点だが、与野党の意見は対立している。加えて与党案にアニメなどへの規制の検討条項が盛り込まれたことで、表現の自由に関わる問題に広がってきた。

海外からの批判を浴びたことを契機に、18歳未満を対象とした買春やポルノの製造・販売が禁止されたのは1999年で、2004年に一部改正された。
しかし日本ユニセフ協会では(1)目的を問わず入手・保有する単純所持を罰則で禁止(2)アニメ、ゲームや18歳以上の人物が演じる場合も違法化する(3)被害児童の保護体制の整備、などを国に求めている。
与党はこの趣旨におおむね沿った内容の改正案を昨年提出した。

入手側の規制の必要性には民主党も同調しているが、本人が知らぬ間に送りつけられ、パソコンに残る状態も考えられるとして、同党は「金銭を払ったり、繰り返し取得するなど」の行為に限定した取得罪を盛り込んだ改正案を今年3月に提出した。
民主党の改正案では現行法の「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮又は刺激するもの」とする条項はあいまいだとして削除、児童ポルノの名称も「児童性行為等姿態描写物」と変更して定義を絞り込んだうえで、法定刑を引き上げた。
「処罰する明確な定義が必要。取り締まりが恣意的に行われないよう人権面への配慮とともに、捜査がやりやすくなるメリットもある」と、民主党の細川律夫議員は訴える。この民主党案には購入時に内容を認識していなかったなどと言い逃れを許し、定義に漏れた児童ポルノがはびこる恐れがあるとの指摘もある。

議論を複雑にしているのが与党案に盛られた「児童ポルノに類する漫画等」の規制についての検討条項だ。社会全体で子供を守る規範を確立することが必要という趣旨は国際的な流れとされる。
ただ実在の子供が対象となったポルノと異なり、漫画やアニメには特定の被害児童が存在するわけではない。表現の自由や内面の自由など憲法上の基本的な権利との調整が避けられないほか、そもそも法で規制すべきなのかといった批判も根強い。

児童ポルノ法に詳しい奥村徹弁護士は「現行法でも共犯として買い手の違法性を問う解釈も可能だ。所持か取得かの議論が今さら起きる理由は、この法が社会秩序維持を目的とするわいせつ物頒布罪の構成を安直に借りて作られたから」と指摘する。
「問題は被害児童の圧倒的多数が特定されないまま立件され、最も肝心な被害児童の保護が手つかずで放置されてきたこと」と話す。

2009/06/29, 日本経済新聞 朝刊(論点争点メディアと人権法)より要旨収録


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