金融庁は18日、ジャパン・デジタル・コンテンツ(JDC)信託に、新規業務の3カ月間の停止と顧客財産の返還を命じた。同社の2009年5月末の顧客数は約2800で、受託財産は同3月末時点で357億円に上る。金融庁は顧客の了承を得たうえで、財産を速やかに返還するように命じた。JDC信託は受託財産のすべてを失う可能性もある。
新規業務の停止期間は19日から3カ月間。金融庁はこの間に同社の内部管理体制の改善を注視し、改善度合いが思わしくないと判断した場合には、3カ月後に信託会社の免許を取り消すことも視野に入れているもよう。
JDC信託は2007年12月と2008年6月に、映画制作への投資目的で顧客から預かった資産を信託勘定から合計1億8千万円を流用。映画の広告宣伝費として別会社に融資したうえで、宣伝費用の支払い代行名目でその会社から受け取った資金をJDC信託の借金返済に充当していた。
2008年4月には、契約者の同意を得ずに信託報酬の前払いとして1億2千万円を引き出した。有価証券報告書の虚偽記載や前社長が当局の承認を得ずに別の会社の代表取締役を兼務する法令違反も見つかった。一連の行為は「信託業務を的確に遂行する人的構成がない」と認定した。
金融庁は「今の管理体制では顧客財産を十分に保全できない。いったん白紙の状態に戻ってもらう」と説明している。
JDC信託の岡田馨社長は金融庁の処分を受けて18日記者会見し、「ご迷惑をおかけしおわび申し上げます」と陳謝した。土井宏文元社長と平田充前社長に対して責任を追及する方針だ。
岡田社長は「トップの判断に対してけん制をかけることができず、会社としての問題もあった」とずさんな内部管理体制を認めた。東証への上場維持については「今回の処分を重く受け止めて信頼回復に努め上場を続けたい」と述べた。
2009/06/19, 日本経済新聞 朝刊より