バンダイナムコホールディングス(HD)は、年初から「機動戦士ガンダム」テレビ放映30周年の記念イベントを展開しているが、DVDや「ガンプラ」など関連商品の販売は低迷しており、ビジネスモデルの転換を急いでいる。新戦略は軌道に乗るか、日本アニメを代表する「ガンダム」は今、岐路に立つ。
東京・有明の国際展示場「ビッグサイト」では21日から23日まで開催される「GUNDAM BIG EXPO」の準備が急ピッチで進められている。一連の記念行事のなかでも、最大規模のイベントだ。
他にも30周年記念DVDやプラモデルの発売、さらに東京・お台場に高さ約18メートルのガンダムの巨像の設置など、年初からバンダイナムコは記念商品やイベントを矢継ぎ早に繰り出すが、肝心の売り上げは伸びない。
グループで販売する関連商品の売上高は2008年度には428億円だったが、今年度は360億円に減少する見込み。2008年度に関連の業務用ゲームがヒットした反動もあるが、収益環境の悪化は顕著だ。
日本動画協会によると、1年間に放送されるテレビのアニメ番組は過去最高だった2006年の306本から、2008年には288本に減少した。アニメはテレビ放送後のDVDの販売を収益源としているが、その販売数が減少しているためだという。
またガンダムの場合、テレビ放送の初期から続く「コア」なファン層は40歳前後で、彼らも不況の影響で財布のひもが固くなっている。
「熱狂的なファンでない人に、DVDを買ってもらえるぎりぎりの値段にした」
バンダイナムコは新たなファンの掘り起こしに乗り出す。グループのバンダイビジュアルは劇場版10作品を通常の半値の3000円に設定した。
8月末にはテレビシリーズのオープニング曲、エンディング曲などをすべて収録したDVDを発売する。また家庭用ゲーム機で再生できる「図鑑」も低価格で商品化する。
バンダイナムコの石川祝男社長は「次世代のファン獲得を優先し、短期的な売り上げの増加は求めない」と話す。
海外のファンの開拓も進める。毎月バンダイナムコグループ各社の「ガンダム担当」が集まる会議では、今冬にも放映を始めるシリーズ最新作を海外でどう展開するか議論している。
テレビ放送でまず認知度を上げてビデオやDVDを販売、さらにガンプラなど玩具やゲーム機でも収益を稼ぐ。1980年代にバンダイ(当時)がガンダムで構築したこのモデルは、アニメ市場に広く浸透したが、時代の変化でそれも変化を迫られている。
新たな「ガンダムモデル」は再び成功の方程式となれるのか。アニメや玩具など関連業界にも大きな影響を与えそうだ。
2009/08/21, 日経産業新聞より