日経夕刊「学びのふるさと」欄から、ゲームデザイナー堀井雄二さんの言葉を要旨で。
「限られた空間で読み手を楽しませる表現を工夫する」
中学から大学まで漫画のストーリーなどを、毎日ノートに描きつづっていました。漫画づくりの過程で覚えたこの言葉が、ゲームづくりの根っこにあると思っています。
高校3年の夏休み、淡路島から一人で上京し、永井豪先生のもとを訪ねました。
これで絶対に漫画家になれる」と思っていました。でも、作品を見た先生は浮かない顔で「高校を卒業したらまた来なさい」というだけ。やんわり断られたのだと感じました。
漫画家にはなれませんでしたが、大学卒業後にゲームデザイナーとして活動を始めました。漫画とは違いましたが、コンピューターの表現にも無限の可能性を感じました。
その後制作したドラゴンクエストは、コンピューターの容量の限界があり、限られた会話やモンスターでいかにストーリーを表現するか苦心しました。限られたコマに物語を描く漫画家志望時代の経験が生きたのだと思います。
今はコンピューターの技術が発展し、やりたいことのほとんどを表現できる時代になりました。しかし、実際に相手にするのが画面の向こうにいる人間という点は変わりません。見てくれる人をいかに楽しませるか。それが漫画家を志望した時代から培った私の原点なのだと思っています。
2009/08/21, 日本経済新聞 夕刊より