神戸・長田、鉄人28号、三国志、復興のシンボルに

9月29日、JR新長田駅近くに、高さ18メートルの「鉄人28号」像がお目見えした。設置したのは地元商業者らでつくる特定非営利活動法人(NPO法人)KOBE鉄人PROJECT。
「鉄人は長田に観光客やテナントを呼び込むシンボル。建てることが目的ではない」と同NPOの岡田誠司さん(50)は強調する。

三国志の登場人物をあしらったのれん、商店主らが三国志の衣装を身に着けたコスプレのポスター……。周辺の商店街では、こんな光景に出くわす。実はこの試みも同NPOが手がける。
神戸市須磨区出身で長田区にゆかりがある漫画家、横山光輝氏の「鉄人28号」と「三国志」をテーマにした街おこしだ。商店街の随所に三国志の石像を設置。毎週日曜日にはスタンプラリーを催している。最近は、平日でもカメラを片手に散策する人の姿が目立つようになってきた。「鉄人や三国志をきっかけに、商店街を巡ってほしい」。関係者はそんな願いを託す。
取り組みに呼応し「長田をアニメの街に」との動きも出てきた。神戸芸術工科大などは来年、再開発ビルにアニメ制作スタジオを開設する。同大の川内松幸さん(52)は「長田の下町風情などはクリエーティブな仕事に合っている」と話す。

長田地区は復興事業が重点的に進められた地区の1つで、激減した新長田駅周辺の人口は徐々に増えてきた。しかし区外消費が増加。小売事業所は震災前に比べ4割減った。市の調査では、商店街・小売市場の空き店舗率は20%に上る。
こうした状況を打破しようと空き店舗などを活用し、長田を新産業創造の街にとの構想も進む。

ハード整備から観光振興や新産業育成の段階に踏み出した復興事業だが、課題も多い。商店主ら地域の住民自身が様々な取り組みにどこまで主体的にかかわるかが重要になる。実際、8月に商店街で催した「三国志祭」には1万人以上の観光客が訪れたが、休んでいる店も目立ったという。
商店街の事業主らでつくる神戸ながたティー・エム・オー(TMO)の運営委員長、正岡健二さん(61)は「街づくりの最大の目的は既存の商店が刺激を持って動き出すこと」と指摘する。

2009/10/02, 日本経済新聞 地方経済面 (近畿B)より

関連記事:長田をアニメ制作の街に、「アニタス神戸」開設へ

Comments are closed.