「アーティスト水樹奈々」をつくる、キングレコードMM制作部長三嶋章夫氏

女性シンガーでありアニメ声優でもある水樹奈々さん(29)のCDシングル「夢幻」が好調だ。発売2週間で出荷約10万枚、オリコン週間チャートで初登場3位を記録した。アイドル色を抑えた楽曲作りが支持され、ファン層は女性にも拡大している。
仕掛け人はキングレコードMM制作部長、三嶋章夫氏。

「思春期に聴いていた音楽は美空ひばり」――。愛媛県出身の水樹さんは演歌とアニメソングを聴いて育った。四国地方は演歌が盛んな地域といわれ、演歌教室を営む両親の教えの下、水樹さんは幼少時から演歌の世界にどっぷりと漬かっていた。
演歌歌手を目指して上京した水樹さんは、先にアニメ声優としてデビュー。声優の仕事の傍ら、都内のライブ会場で演歌やポップソングなどを披露したところ、演歌で鍛えた伸びのある声やしっかりした低音が三嶋氏の目に留まり、キングレコードから2000年12月にCDデビューした。
当初は認知度が低くCDの売れ行きは伸び悩んでいたが、歌唱力が評価されシングルCDを出すたびにオリコンチャートの順位が上昇。2005年秋に投入したシングルCDがオリコンチャートで2位になり、その後もトップ5を維持した。
アルバムは今年6月に発売した「ULTIMATE DIAMOND」が自身初の1位を記録した。
水樹さんの曲はアイドル色とは一線を画し、「夢幻」の歌詞には「微睡の淵で揺れてる」といった文語的な表現が登場。アニメ声優のファンを意識した淡い恋心を歌った楽曲はむしろ少なく、幻想的な内容が多いという。

アーティストとしてのイメージ定着につながった点は2つ。1つはアルバム作り。これまでに8作を発表したが、シングルの表題曲のほかはすべてアルバム用に新たに作曲。「本格的な楽曲を手掛けるアーティスト」としての認知を目指した。
2つ目はCDのジャケット写真にアニメ色を出さなかった点。
アニメ番組のタイアップ曲でも、ジャケットにはアニメのキャラクターは一切写さず、露出は本人のみ。
「声優が歌を歌うという図式がつくられがち」(三嶋氏)なテレビ出演も自粛し、主に口コミによる販促などでヒットシンガーの仲間入りを果たした。

来年1月に21枚目となる新作シングルCDを発売する。「切なくて熱い、様々な魅力を表現した作品」になる予定という。三嶋氏は今後も「アーティストとしての水樹奈々」を前面に打ち出す考えだ。

みしま・あきお 1994年キングレコード入社。アニメ楽曲などの企画業務を担当。40歳。

2009/11/12, 日経産業新聞「ヒット案内人」より

夢幻 (発売中)
タイトル未定 (2010/1/13発売予定)

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