米メディアの生き残り競争過熱、ネット勢躍進、放送・映画は苦境に

米CATVコムキャストによるNBCユニバーサル(NBCU)の事実上の買収発表を受け、M&Aの動きが活発になるとの見方が出てきた。
「メディア再編の時代は過ぎ去ったかと思われていたが、景気が回復するにつれ、コンテンツ側と配信側の統合が再燃するだろう」。米連邦通信委員会(FCC)のコップス委員は3日、コムキャスト―NBCU連合の発表を受け、メディア再編のうねりが高まることを予言した。
ただ、伝統的なメディア大手がネット勢から主導権を奪い返すことは容易ではない。

放送や新聞など伝統的なメディアや映画大手は広告不況やDVD販売の不振などに直面。業績は低迷し、事業戦略の見直しを迫られている。一方、通信大手のAT&Tなどインフラを保有する有力企業は資金力が豊富。衛星放送最大手ディレクTVや放送大手CBSなどが買収されるのではとの観測は絶えない。
ウォルト・ディズニーによるABCの買収やAOLとタイムワーナー(TW)の「世紀の合併」などメディア大手を巡る再編は米国のM&Aの花形だった。
「コンテンツ・イズ・キング(コンテンツこそ王様)」という発想とネット・バブルが重なり巨大合併劇が次々と起きた。だがメディア大手が2000年以降に出した評価損は総額で2000億ドルといわれ、成功例は少ない。

ネット時代の「勝ち組」は技術と事業モデルの革新にいち早く踏み出せた新興勢力だ。代表格がグーグル。
「メディア王」ニューズ・コーポレーションのマードック会長は「マイスペース」を買収したり、傘下の新聞各社のサイトの有料化を進めたりしているが、ネットで稼ぐ仕掛けづくりは道半ば。
AOL・TWの時価総額は発表時で2500億ドルだったが、今やTWは360億ドル。かたやグーグルは1860億ドルに達する。
コムキャスト―NBCU連合の誕生は華々しく報じられたが、「相乗効果には懐疑的」といった冷めた見方が市場で聞かれる。
売上高で全米最大のメディア企業の誕生ですら、株式市場は懐疑的だ。

2009/12/05, 日本経済新聞 朝刊より

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