「消費しない若者」に商機あり

若者が消費をしなくなったといわれる。地域流通経済研究所が今年7月にまとめた報告書「若者のライフスタイルと消費行動 若者は本当にお金を使わないのか!?」では、今の若者には「消費意欲と消費行動の間に不安という壁がある」と指摘する。
身の丈にあった幸せを求め、壁も積極的に乗り越えようとしない。その結果、欲望が見えにくくなっていると分析する。
長年にわたり若者消費を分析してきた研究者がこのテーマを論じた本が今年、相次ぎ出版された。

「カルチャースタディーズ研究所」を主宰する三浦展氏が出版したのが「シンプル族の反乱 ―モノを買わない消費者の登場」(KKベストセラーズ)。
好景気を知らない30代以下を中心に、不要な物を買うことに罪悪感がある、使わないものをため込むのはもったいないという価値観が広がっているとし、こうした志向を持つ消費者を「シンプル族」と命名した。
「過去40年にわたって一貫して増加し続け」た大きな流れであり、不況で目立つようになったととらえる。打開策としてエコロジー、ナチュラル、レトロ、などのキーワードを挙げ中古品、地産地消などの具体例を三浦氏は提示する。

JMR生活総合研究所社長の松田久一氏は「『嫌消費』世代の研究」(東洋経済新報社)を出した。「嫌消費」の中心は20代後半の「バブル後世代」、「消費が夢であった時代を知らない」世代だとする。
上の世代があこがれたクルマ、家電、海外旅行の「3K商品」にも関心が薄いく、「自分の預貯金が増えていくことが単純にうれしい」人が多い「お金が好き」な世代だという。インフレを知らず、ゲーム機やコンテンツソフトなどで「待つことで値下がりした」経験が豊富なことも、消費より貯蓄を選ばせるとする。
松田氏は3つの道を提案する。第1はバブル後世代の攻略をあきらめる。第2はニーズの深掘りや売り方の工夫に努力する。第3は同業他社の成功例が出るまでじっと動かないことだという。

今月出版された「欲しがらない若者たち」(山岡拓著、日本経済新聞出版社)。2000年と2007年の若者調査を比較し、クルマをはじめ自分専用のテレビやエアコン、テレビゲーム機、さらに貴金属、有名ブランドのかばんや靴、高級時計、スポーツ用品などの保有率が軒並み低下していると指摘。一方でデジカメ、携帯電話の保有率は上昇した。
「見せる」「差をつける」「ライフスタイルを体現する」商品への関心の低下が顕著だと著者は読み解く。
山岡氏は今年20歳になる若者に「お気に入りのものを携帯電話で撮影してもらう」調査を実施した結果、高額品ではなく「誰かにもらったもの」が多かった点に着目する。どんなとき誰からもらったかを丁寧にコメントしてあったという。
物の向こうに欲する何かが透けて見える。
見えにくいことは存在しないことと違う。彼らが満足する商品やサービスが提供されていないのであれば、ビジネスのチャンスは大きいと記事は結んでいる。

2009/12/11,日経MJ(石鍋仁美のマーケティングの非常識)より

参考リンク:財団法人地域流通経済研究所「若者のライフスタイルと消費行動」(要約)[PDF]

若者のライフスタイルと消費行動-若者は本当にお金を使わないのか!?シンプル族の反乱「嫌消費」世代の研究――経済を揺るがす「欲しがらない」若者たち欲しがらない若者たち(日経プレミアシリーズ) Amazon associate

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