広告収入激減、テレビキー局の二極分化、系列局再編へ圧力

広告収入の激減に苦しむテレビ局。総務省が発表した2008年度の「一般放送事業者(地上系)収支状況」によれば、民放127社のうち60社が最終赤字を計上した。
スポット収入の下げ止まりと地デジ放送などの設備投資がヤマを越えたことにより、やや明るさも見え始めた。しかし放送収入全体の減少は歯止めがかからず、費用を削ろうにも番組制作費の大幅な削減は質の低下や視聴率低迷へとつながる負のスパイラルを加速させてしまう。人員削減などに手を付けることも視野に入れざるを得ない状況だ。

放送収入の減少の先にあるのはテレビ局の淘汰だ。その予兆はキー局のスポット収入の二極分化に見ることができる。
「まさかここまで広告が入らないとは思わなかった。番組の編成についても情勢を読み違えた」と語るのは「負け組」のTBS役員。2009年度の営業利益は21億円を見込むが、「赤坂サカス」の不動産収入の副業で稼いでいるに過ぎず、本業の放送事業では113億円の巨額赤字が見込まれている。
本業不振の最大要因は昨年4月の番組改編。ゴールデンタイムではテレ朝より下の4位が定位置となり、スポンサーが離れた。制作費の高い平日19時台を生放送のニュースにすることで、タレントのギャラやスタジオ代などを大幅に削減すると同時に視聴率も狙ったのだが見込みを誤った。

「われわれは小さな会社ですから、普通にやっても生き残れないですよ」テレ東のある社員は自嘲気味に話す。番組制作費は他社の半分以下、コスト削減の余地もほとんど無い。
強みを持つ経済やアニメ、旅行、演歌などと他社との差別化で勝負してきたが、視聴者層が50代以上に偏ってしまった。この世代はBSの視聴者層ともバッティングする。スポンサーニーズの高い若者の視聴者の少なさがスポット広告の低迷につながった。

「勝ち組」といえど大きな課題を抱えている。
フジ・メディア・ホールディングスは2009年度の営業利益予想を大きく引き下げた。子会社のフジテレビの放送収入は順調なものの、ニッポン放送、ポニーキャニオン、扶桑社、ディノスなどの子会社は収支トントンか赤字見込みと、足を引っ張っている。

さらにキー局は系列ローカル局の救済問題も迫られようとしている。
2008年の放送法改正で、認定持株会社になれば傘下に最大12局のテレビ局を持つことが可能となった。ただキー局によるローカル局再編は進んでおらず、総務省では放送持株会社の形態をとらなくとも33%までの出資を認める法案を今国会に提出する。
しかし「ローカル局の面倒を見る余裕などどこにもない」とキー局幹部は吐き捨てる。
民間の営利企業と免許事業の公共性との狭間で折り合いを付けることが今まで以上に難しくなっている。

週刊東洋経済2010年2月20日号(2月15日発売号)より

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