CD市場は衰退し続けるのかとの問いに、中堅ユニットLOVE PSYCHEDELICOは、あるテレビ番組でSMAPの香取慎吾に、こう答えた。
「音楽はもともと無料のものだった。だから本来の形に戻ってるだけじゃないかと思いますね」
この発言に「ファンは減っていない。音楽を加工・値付けし大量に売る事業形態が衰退しているのだ」という発信者の自信が読めた。
製造コストの低下とデジタル社会の進展で、今後多くの商品やサービスが無料化する――クリス・アンダーソンは著書「フリー」でこう主張する。同書は無料でネット配信した後に出版。世界的なベストセラーとなった。
アンダーソンはオンラインで無料配信してファンを獲得し、コンサートの入場料やCD・グッズ販売で利益を得ることを提唱する。売り手と買い手に限った市場の概念を捨て、多くの人が参加するなかで、その一部が金銭を直接やりとりするシステムととらえようとの視点だ。
実例は市場外の素材から生まれている。地域で奉仕活動をしていたスーザン・ボイルさんの無償の歌声はオーディションの動画配信で火がついてレコード会社が動き、デビューCDは850万枚売れた。
市場外にある「無料」は目に見えない。いわばトランプのジョーカーだ。
競争市場にかかわらなかったジョーカーが入り込むところが「無料」の面白さであり、怖さでもある。
2010/03/03,日経産業新聞(流行ウオッチング)ジャーナリスト川崎由香利氏の署名記事より要旨
![週刊 ダイヤモンド 2010年 3/13号 [雑誌]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51WkbH%2B6bpL._SL75_.jpg)
