3D映画「アバター」を追って国内でも3D作品の製作が始まった。撮影技術、演出ともにスタンダードと呼べる手法がまだない中で独自にノウハウを開発、蓄積する試みが続いている。
今月11日、東映の「劇場版 仮面ライダーW」(8月7日公開予定)の新作が撮影に入った。同社が本格的に3Dで製作する最初の長編映画だ。
現場では坂本浩一監督が2台のテレビモニターを交互にのぞき込む。1台は撮影した映像を通常通り2Dで、もう1台は3Dで映し出している。まず2Dを見て役者の演技を指導。芝居が固まると、3D画面で映像の立体感をチェックする。
「作業がすべて2倍になるのが大変なところ」(坂本監督)。製作費もほぼ1.5~2倍に上る。
新しい技術スタッフも増えた。3D技術コーディネーターの小林真吾氏だ。場面ごとの「視差」の調整が主な仕事で、これが適切でないと観客が不快感を覚えたり、疲れたりする原因になる。しかし客観的な基準はハリウッドでも確立していない。「現場での経験と勘を積み重ねている段階」と小林氏は言う。
そもそも3D映画を撮るカメラが、まだ普及していない。先駆者ジェームズ・キャメロン監督が「アバター」で使ったのは、自前で開発した撮影機材。その後、海外で発売された製品はあるが高価。そのため日本では作品ごとにカメラを手作りしている。
原理的には従来の2Dカメラ2台を左右の目に見立てて組み合わせればいいが、「大きく重くなり、機動力に欠ける」と昨年、国内初の長編3D映画「戦慄迷宮3D」(清水崇監督)を手がけたアスミック・エースの谷島正之プロデューサーは語る。
同作は狭いお化け屋敷を舞台にしたホラーで、大きなカメラは持ち込めないため、特殊な小型カメラを2台使い、手持ちで移動ができるほど軽量のカメラを開発した。撮影期間も短縮でき、製作費を抑えられたという。半面、使用できるレンズの種類が限られるため「画質は100%とはいかなかった」(3Dスーパーバイザーの宇井忠幸氏)。
やはり主流は、大きな2Dカメラ2台を組み合わせる方式で、撮影手法は制限されるが、監督たちはそれを補う演出に挑み始めている。
「速い動きを見せるときの手法が、2Dとは違う。撮りながらだんだんわかってきた」と語るのは、東北新社が製作する特撮アクション「牙狼〈GARO〉」(今年公開)の雨宮慶太監督。アクションに迫力を出そうとすれば、1シーンを何カットにも分けて撮り、速いテンポでつなぐ。だが、カメラ位置一つ変えるにも時間がかかる3Dカメラは、カット数の多い撮影に向かない。
「1カットの中で動きをおさめる分、画面に多くの情報を入れるといった工夫をした」(雨宮監督)。観客の目が追いつかないから、3Dでは2Dほど人や物を速く動かせない。代わりに「止まっている状態から急に動かす、動いている状態からぴたっと止める、といった映像が意外に効果的だと発見した」。
「戦慄迷宮3D」の清水監督も「撮影前は斜に構えていたが、撮り始めて3Dの可能性に気づいた」と話す。
多額の製作費を回収するためにも、これまでの3D映画といえば派手な大作に偏りがちだった。しかし、「ラブロマンスや時代劇など、じっくりと感情を描く作品にも向くのではないか」と清水監督。「例えば家族ドラマで、感情移入した観客が、思わず子どもの登場人物の頭をなでたくなるような映像表現も3Dならできる」
アジアの潮流は確実に3Dへと向かっている。今年2月のベルリン映画祭に、香港は3Dの歴史活劇「蘇乞児」(袁和平監督)を出品した。韓国でも年内に、時代劇「弦の歌」(チュ・ギョンジュン監督)、恐竜映画「タルボサウルス」、SFホラー「セクター7」と、大作3本が公開予定。
「アバター」に続いて米3D大作「アリス・イン・ワンダーランド」も人気だが、国産の「戦慄迷宮3D」も3月20日に台湾で公開、第1週で5万人動員のヒットとなっている。先頭を切ったのはハリウッドだが、新しい3D表現が日本を含むアジアから生まれる可能性は十分ある。
2010/04/24,日本経済新聞 朝刊より
劇場版 仮面ライダーW|2010年夏の映画は3D/坂本浩一監督/8月7日公開予定!
HOST: s90.coreserver.jp
仮面ライダーWの2010年夏の映画は夏休みに公開、3D映像らしいです・・・。チラホラ9月からの新ライダーの情報も入ってきてます。また夏のWの映画で・・・