米アップルが日本で流通ルートの見直しを加速している。家電量販店のインターネット通販サイト経由の販売を停止したほか、製品を量販店に卸す中間流通業者の絞り込みも始めたようだ。多機能携帯端末「iPad」の国内発売を5月末に控え、直販体制の強化に動いているとの見方もある。
ある通販業者は「安売りサイトに商品が流れているのがアップルは我慢ならなかったようだ」とみる。通販業者は量販店で特売品などを買い集めネットで売る。今回アップルは家電量販にネット販売の中止を迫るとともに、ネット通販業者への商品提供も禁じた。
今回の流通見直しは年初には始まっていたが、アップルジャパンの代表取締役が3月に販売営業も統括するダグ・ベック氏に交代し加速したもよう。3月には家電量販店との交渉が本格化。量販各社は4月に入りアップル製品のネット通販を順次やめた。
中間流通業者についてもアップルは特定の数社に絞り込んでいるとみられる。複数の業者がアップル製品の取り扱いを段階的に縮小し始めた。
一連の動きに関しアップル日本法人は「現時点では特にコメントはない」としているが、背景には流通コストを削減する狙いも見え隠れする。
世界的に直営の販売網の拡充を図るアップルにとって、直営店の運営コスト捻出が目下の課題。MM総研の中村成希アナリストは「削減したコストを直営店運営に回すのでは」とみる。
また、ある量販の幹部は「Macを置くなら大型店だけにして小さな古い店は扱いをやめてほしいと言われた」と明かす。絞り込みでブランドイメージを守る目的もあるとみられる。5月下旬に米国を除く世界で「iPad」が発売されるのを前に、販売戦略がそれを見据えたステージに移行したといえそうだ。
アップルの販売体制を巡っては1989年、99年にそれぞれ独占禁止法違反の疑いで公正取引委員会の立ち入り検査が実施されている。今回の見直しがどんな波紋を呼ぶかは読めないが、アップルの動向に注目度が高まっている。
2010/04/28,日本経済新聞 朝刊より