仏パリ郊外で7月初旬、日本文化を紹介する欧州最大の見本市「ジャパンエキスポ」があった。11回目の今年は出展ブース数が約550、4日間の来場者数も約18万人といずれも過去最高だった。マンガやJポップだけでなく、空手や剣術、座禅など伝統文化も紹介。アニメやゲームの熱心なファンに限らず、親子や「面白そうなので遊びに来た」という女の子たちも集まり、「脱オタク化」が目立った。
「出展者・来場者とも多様化が進んだ」と博報堂DYメディアパートナーズの加藤薫氏は分析する。今回増えたのがコンテンツ配信業者や物販業者などの出展。「ポップカルチャーは趣味性が高いが、衣・食・旅行・学習などへの波及効果も大きい。日本企業に大きなチャンス」(加藤氏)と読む。
ブースの中でひときわにぎわったのが、ニコニコ動画(ドワンゴ)のコスプレ生中継。前を通るコスプレーヤーの映像を日本で生放送していた。日本好きのフランス人にニコニコ動画を認知させ、日本で映像を見ている人にも仏会場の熱気をリアルタイムで伝える試みだ。期間中の総視聴者数は15万人以上、コメントも100万件以上だったという。
もう1つの新機軸が、慶応義塾大学大学院のブース。日本のポップカルチャーの研究成果を発信し欧州から日本への留学を勧誘する狙い。「アンケートに多くの人が熱心に答えた。来場者はみな明るく好意的で、日本に来たがっている若者が多かった。いずれパリに常設拠点を設けたい」。中村伊知哉教授は手応えを感じている。
日本政府はコンテンツの海外展開を重要課題に据えるが、ネットの流通だけでは展開規模は限られる。「今後は食品、自動車、ロボット、観光など他のビジネス領域との連携・融合も有効」(中村教授)。韓国は官民連携で「韓流ブーム」を設計したとされる。日本もこうした見本市などでの客の反応や成果を取り込み、ポップカルチャーを広げる戦略が必要だろう。
2010/07/23, 日経産業新聞(市場トレンド私はこう読む)より、ブームプランニング社長中村泰子氏