映像や音楽など日本製コンテンツの海外展開が遅れている。市場全体に占める輸出比率は5%程度で、20%弱の米国に比べても見劣りする。国内外でコンテンツ売上高を20兆円に伸ばす目標を掲げる経済産業省の木本直美・文化情報関連産業戦略調整官に、日経産業新聞がコンテンツ振興策を聞いている。
・7月初めのフランス「ジャパンエキスポ」は過去最高の来場者数を記録した
「日本のコンテンツを紹介するイベントであり、11回目を迎えた今回は約17万人が訪れ、ブース数も最多となる約600に達した」
「新たな試みとして3Dの音楽演奏シーンを流し、同時期に国内で行われたアニメソングライブを動画生中継サイト『ユーストリーム』で会場内に紹介した。1回目は約3000人しか集まらなかったことを振り返っても、日本のコンテンツに対する海外のファン層は着実に広がりつつある」
「日本のアーティストが欧州のインディーズレコード会社から音楽CDを出す例もあり、草の根では日本のコンテンツ浸透に向けた胎動もうかがえる。ただ、率直な印象としては『オタクが好むもの』という域を抜き切れていないのが実情。背景には日本が成熟した娯楽市場で、企業が海外に打って出る必要性が薄かった面もある。言い換えれば海外展開のビジネスモデルがなかったともいえる」
・海外進出の具体策は何か
「1つは人材育成だ。米ハリウッド流の映像制作ノウハウを現地で学んでもらうための資金支援を実施する。このほど公益財団法人のユニジャパン(東京・中央)に委託し、短長期の留学希望者を募集した。コンテンツ企業の海外進出を後押しするファンド創設やポータルサイトの開設も検討中だ」
「インターネットを駆使したビジネスモデルの構築も急がれる。映画館のデジタル化が加速し、音楽コンサートなどのライブ映像を劇場で生中継できる時代になった。ネット社会を迎え、コンテンツの違法ダウンロード問題などが生まれた一方、時間・空間の制約を超えて情報を手軽に発信できるツールを手にした。海外の映画館で日本のライブも積極上映し、浸透を図る施策などは有効だろう。国としての後押しも考えていく」
・コンテンツ振興イベントの今後の海外展開は
「娯楽市場の拡大が見込まれる新興国を念頭に各種イベントを増やしていきたい。ハードとソフトの双方を拡販したいとする産業界からの要望も強い。商談会によるビジネス機会の創出も重要視し、成約件数などもきちんとフォローしていく」
「日本のコンテンツに対する諸外国からの関心の高まりは観光を含め国益につながる。コンテンツ各社とも協力しながら、実効性のある具体策を打ち出していきたい」
2010/08/04,日経産業新聞より