ゲームやネット関連企業が現実社会と連動したゲーム「リアゲー」の展開に乗り出している。物販やサービスのマーケティングに活用する動きもあり、ゲーム市場の新分野へと成長しつつある。
7月上旬、静岡県熱海市にニンテンドーDSを携えた男性約250人が集まった。ゲーム内の“恋人”と記念撮影をするためだ。
このイベントは携帯型恋愛ゲーム「ラブプラス+」を開発したコナミデジタルエンタテインメントと熱海市の旅館や観光協会などが共催。初日の記念式典には熱海市長もかけつけあいさつした。
ラブプラスはゲーム内のキャラクターと高校生活を通じて交流するストーリー。拡張現実(AR)の技術を使うと、DSのカメラで写した現実の景色上に、キャラクターが映し出される。は観光スポットで、浴衣など熱海限定のスタイルになったキャラクターと写真撮影できるようにした。コナミでは「今後もキャラクターの服装や髪形、物語などを増やし現実の世界を巻き込んでいく」という。
「リアゲーが次世代ゲームの新潮流になる」。7月末ゲームサイト「ハンゲーム」を手掛ける韓国ポータルサイト最大手NHNの日本法人、森川亮社長は集まったゲーム業界の関係者らを前にこう宣言した。
ハンゲームはSNS向けゲームやアバター販売などが主力だが、7月末からは実際の天気で雨が降るとキャラクターが成長しやすくなる育成ゲーム「ねんどん」を開始した。9月配信予定のロールプレイングゲーム「トライフルストーリー」では、キャラクターのパワーが高まる時間帯を分ける。
実生活で役立つ特典がもらえるサービス「イマコレ」も展開。宅配ピザの「ピザーラ」と組み、イマコレで時間、場所、現象などの課題をクリアするとピザーラで使える特別カードを送る。他社が自由に連動できる仕組みにもする予定だ。
6日から携帯電話の位置情報を利用して日本全国のパワースポットを制覇するゲーム「スピトラ」を提供するのは、携帯向けコンテンツ配信のザッパラス。
実際に神社仏閣や名所など約800カ所を制覇していく。クリアするたびにカードがもらえ、ゲーム進行状況によってオリジナルのキャラクターが成長する。「今後、協力できる企業を探していきたい」(ザッパラス)。
飲食店などとの協業を打ち出すのは、携帯向け情報配信のGNT(東京・渋谷、ホー・トゥン・ラム社長)。実際の店舗と連携するオンラインゲームを、運営するSNSで7月上旬から開始した。
商店街育成ゲーム「つくろう!みんなの商店街」は、仮想的な自分の街に飲食店やショッピングセンターといった店舗を建設して、収益を上げる。運営するSNS「モビオン」の会員向けで、携帯電話で遊べる。利用者がゲームに協力する実際の店舗に行くと、その店をゲーム内に登場させることが可能だ。
「おサイフケータイ」を店頭の端末にかざすと、ゲーム内に取り込める実店舗の画像やゲームで利用できるポイントを入手できる。店頭の端末では、協力店舗が発行するクーポンなども購入できる。
リアゲーを新戦略に据えるNHN日本法人の森川亮社長に狙いを聞いた。
・リアゲーは従来のゲームと何が違うのか
「ゲームは飽きられる消耗品のようなもの。単純なゲームは特にそうだ。だが、世の中と常につながっているという概念を入れると、1人で楽しむゲームとは違った価値が生まれる」
・ゲームの収益源はアイテムへの課金がモデルになりつつある
「実社会と連動したゲームのプラットフォーム『イマコレ』では、広告展開もできるし、クーポン、Eコマースなどにもつなげていける。クーポンなどは人がつながるためのゲームの要素としても有効活用できるだろう」
・SNSではディー・エヌ・エー(DeNA)やグリーが先行している
「我々の強みはパソコン、携帯電話、スマートフォンのすべてにサービスを提供できることだ。アクション性の高いゲームも生かすためには、特にスマートフォンに力を入れたい」
2010/08/06,日経産業新聞より