富山県南砺市で9月に開かれる秋の風物詩「城端むぎや祭」。地元は今年で60回目を迎える祭りに都心などから誘客を促し、地域活性化につなげようとしている。
「城端、サイコー。都会のよどんだ空気から浄化されに来ました」「2回目の城端。むぎや祭にも来るつもりです」――。
JR城端駅の観光案内所のノートには、城端を訪れた若者の感想が書き込まれている。城端を舞台としたアニメ「トゥルー・ティアーズ」を見たファンが全国から絶え間なく訪れる。
城端のアニメ会社「ピーエーワークス」が制作し、2008年にテレビ放送された。素朴だが美しい城端の風景の中で、高校生の青春群像が描かれている。
南砺市観光協会の健名史朗さんは「今でも注目を集めるアニメを祭の活性化に使おう」と提案。市の特別住民にも登録した主要キャラクターをモデルに起用した特製ポスター1600枚を刷り、このうち500枚を県内地銀の東京支店や北陸3県の駅舎などに張っている。チラシ2万枚も新たに作り、岐阜県内のサービスエリアなどで配る。
むぎや祭は「麦屋節」など山間部の五箇山地区の民謡を地元の保存会などが演じる祭りだ。観光協会によると、壇の浦の合戦に敗れた平家一門の一部が隠れる場所を求めて五箇山に住み着いた。慣れない山仕事や農作業の合間にかつての都をしのんで歌い踊ったことが始まりとの説がある。
1925年、東京の日本青年館の開館式に五箇山の青年たちが出演。麦屋節を披露して全国的に知られるようになった。国から無形文化財の指定を受け、1951年から祭りが始まった。
健名さんは「(60年目の)節目の年に改めて五箇山民謡を全国に発信する」と力を込める。民謡とは一見、縁が薄そうなアニメのポスターを大量に刷ったのも、例年以上の注目を集めようとする意気込みの表れだ。
祭りの規模も拡充。例年は2日間の開催期間を3日に延長したうえで、初参加となる団体を含めて、前回に比べ2団体多い18団体が演目を披露する。会場となるお寺の鑑賞席800席分を無料とするほか、麦屋節の全国大会も開く。
2010/08/12, 日本経済新聞 地方経済面 (北陸)より
参考リンク:
城端観光協会城端むぎや祭
ピーエーワークス