東京都杉並区の「杉並アニメーションミュージアム」。ガイドによる説明が終わるやいなや、壁にずらりと並んだポスターをめがけ、シャッターをきる若者たち。中国の江蘇省南京市から修学旅行で来日した高校生だ。
「日本のアニメは絵が繊細でとてもきれい」と話す梅娟さん(16)は、念願のミュージアム訪問がかない興奮が収まらない様子だ。朱陳豪さん(16)は約100人の著名な漫画家やアニメ作家らのサインが飾られたコーナーを食い入るように見つめている。
同ミュージアムは杉並区が2005年に開設した。制作会社やテレビ局の垣根を越え、日本のアニメ作品を網羅しているのが特徴だ。最寄り駅から徒歩20分と不便な場所にありながら、年間約58000人が訪れる。
なかでも最近増えているのが米国や中国、韓国などの外国人。2005年度は200人弱にすぎなかったが2009年度は約3000人に急拡大した。海外の旅行ガイドやメディアでも紹介されるなど、世界のアニメファンの“聖地”となりつつある。英国人のケイト・ワットモーさん(24)も「日本のアニメの歴史が知りたい」とはるばる来日した。
600超ある国内のアニメ制作会社の1割強が集積する杉並区。「ミュージアムやガンダムの銅像、制作現場など区内の関連スポットを巡る外国人向けツアーを企画したい」(産業振興課)と手ぐすね引く。
観光庁もアニメや漫画に関する国内約70カ所の見どころを紹介する冊子を英仏中など5カ国語で作製した。海外のイベントなどで配布し観光客誘致につなげる狙いだ。「ANIME」の放つ磁力に関係者の期待は高まる。
2010/08/14, 日本経済新聞 夕刊より