2009年度の民放各社の総売上高は2兆2443億円の前年比7.8%減。バブル崩壊時にもなかった落ち込み幅だ。テレビ局127社では32%の41社が最終赤字を計上した。景気低迷による広告収入の減収と地上デジタル放送への投資に苦しむ。経費削減などにより、赤字会社は2008年度の60社より減少したが、依然として赤字会社が大半という地域もある。
キー局幹部が危機感を持つのが青森、岩手、秋田の3県。10社中8社が最終赤字を計上。残る2社も保険の解約など一時的要因で黒字を確保している状況だ。
地場の流通業やサービス業が衰退。「当面は我慢の経営を続けるしかない」。1県に4局がひしめく岩手の民放社長は、ため息をつく。
総務省は苦境に陥った地方テレビ局を支援する制度づくりを進めてきた。2008年の放送法改正では、複数の局を傘下に置ける認定持ち株会社制度を導入。キー局が持ち株会社をつくり、系列局を子会社として存続させることができるようにした。
だが、政局の混乱も影響し、同法改正案の審議途中で通常国会が閉幕した。
原口総務相は秋の臨時国会への提出をめざしているが、通常国会ではNHKに関する規定を巡り野党が法案に反対。与党が参院で少数派に転落した「ねじれ国会」で成立は厳しさを増した。
キー局が地方局に支援の手をさしのべる体力を維持できるかどうかも微妙だ。4~6月期決算では、金融危機の影響で広告収入が落ち込んだ前年同期に比べ、スポット広告では5社とも増収となった一方、タイム広告では底入れが遅れている。
キー局にとって地方局の経営を支える以外に、全国放送網を維持する方法は見あたらない。
各社首脳が「これ以上は削りたくない」と繰り返し発言してきた制作費の削減をさらに進め、自社の体力強化を図りながら、地方局支援の選択肢が増えるのを待っている。
2010/08/16, 日経産業新聞より