アニメの未来(下)押井守監督に聞く――新たな形式の発見カギ-アニメニュース Japanimate.com

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アニメの未来(下)押井守監督に聞く――新たな形式の発見カギ

前日の宮崎監督に続き、押井監督への日経のインタビュー記事を抄録。

  ■キルドレと呼ばれる子供たちが、生の実感を得るため戦闘機に乗る――。「スカイ・クロラ」の主人公は、平和な時代を生きる日本の若者にどこか重なって見える。

 これまで若い人に興味はなかったし、彼らに向けて映画も作ってこなかったが、ここにきて若者に何か言ってもいいかなという気持ちになった。
 キルドレは空での戦闘でドラマチックで圧縮された時間を過ごすが、結局は地上に戻ってくるしかない。そこは、いつ始まって終わるのかわからないくらい、のっぺりとした時間が延々と続く世界だ。その中に何かを見いださなければ、生きることはルーチン(日課)でしかなくなる。「いつも通る道だからって、景色は同じじゃない」というセリフにはそんな思いを込めた。

  ■非日常である戦闘シーンが実写さながらの3DCGで描かれるのに対して、地上の生活や登場人物はあえて平板に手描きされている。現実社会を暗示するかのような構造も巧妙に計算されている。

 「私たちずっとこのままだよ」。登場人物のセリフやキルドレのドラマに説得力を持たせるためには、彼らが生きる時間を感覚として体験してもらわないといけない。リアリティーとテンポが異なる二つの時間を描いたのはそのための仕掛け。アニメーションの形式はこうした仕掛けにたけている。
 これからのアニメも3DCGの技術と作画の力量をどう使いこなしていくかにかかっている。
 二つをいかに組み合わせ、演出そのものの方法へと転化できるか。もはや企画がいいか悪いかなんていうレベルの問題ではなく、アニメーションは新しい形式を発見、発明していかなければ未来はない。

  ■海外でもてはやされた日本のアニメ。しかし、すでに優位性は失われたという。

 作画のレベルは今後、下降の一途をたどる。CGのせいではなく、後継者がいないから。宮大工の世界と同じで、ドラマをやるアニメーターになるには二十年かかるのに、育てることをしなかった。今の二十代にめぼしい人間が見あたらないとすれば、今後十年は優れた職人なしで作らないといけない。
 物語やアイデア次第でおもしろいものが生まれる可能性はあるが、作画に大きく依存する「攻殻機動隊」や「イノセンス」のような作品は多分もうできないと思っている。棟梁たちが引退し、次の世代が育っていないからだ。
 日本のアニメーションの神通力はとっくになくなった。もともと、日本のアニメのアドバンテージは作品の根幹をなすようなことではなく、ある種のカルチャーショックでやってきただけ。今やハリウッドの若い監督はみんなアニメ世代ですから。
 ただ、映画としてのアニメの存在感は定着したので、クオリティーの高い作品にはまだ可能性がある。

 おしい・まもる 一九五一年東京生まれ。八三年から劇場映画を手掛け、九五年「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」は日米英で同時公開。二〇〇四年「イノセンス」は日本のアニメとして初めてカンヌ国際映画祭コンペ部門に選出された。

ヘッドラインは2008/07/29, 日本経済新聞 夕刊



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