米英では音楽CDの販売が減少する中、日本では2007年は前年比1%増。なぜ日本でCD中心の事業モデルが成り立っているのか?
日本レコード協会の石坂敬一会長への日経のインタビュー記事を抄録。
―CDがなぜ売れ続けているのか
「音楽配信へ置き換わっていくとみている人が多かったが、日本は共生・連携型になっている。いい例が『着うたフル』だ。携帯で丸ごと一曲ダウンロードできる音楽配信をCD発売に先行して実施し、その反応を見て出荷量を調整する戦略的手法が確立してきた」
「音楽CDなどと配信を合わせた国内の市場規模は4088億円(2007年)。CDが8割強を占める。レコード会社は単価の高いCDを販売して固定費を吸収している」
―欧米と比較すれば音楽ソフトの小売店網も維持されている
「再販売価格維持制度の存在が大きく、小売店の過当競争が生じにくい。小売店が生き残っているから、売れ筋以外の多様な作品を消費者に購入してもらえる環境が保たれている」
「日本には音楽を尊重する文化があり音楽ソフトでも海賊版が少ないが、違法コピーの影響も無視できなくなり、撲滅キャンペーンを進めている」
―配信への移行は世界の趨勢だ
「CD販売が長期的に見て減少傾向にあるのは事実だろう。2007年の音楽配信市場規模は前年比4割増の755億円で、今年は3割増とみている。音楽配信に対応できる携帯電話は6000万台あるものの、実際に使われているのは1000万台程度。配信市場はさらに拡大余地がある」
「CDと配信の比率が現在の8対2から7対3程度になってくれば、各社とも現在の事業モデルを改革するかどうか経営的な判断を迫られる場面がある。時期としては3年後ぐらいか」
―景気は後退局面に入ったとみられるが、売り上げに影響はないのか
「影響が皆無とは言わないが、他の日常に使う製品よりも嗜好性が強く、影響は受けにくい。単価の安い配信ならなおさらだ」
以下、広岡延隆記者のコメント抜粋
欧米では配信への急速なシフトが進み、音楽産業も改革を迫られている。ソニーが独社との合弁会社を完全子会社化すると発表するなど業界再編の動きも出始めた。
日本市場はかなり特殊な状況で、配信も携帯電話向けがけん引している。
比較的余裕のあるうちに次世代の音楽産業の事業モデルを作る必要があるのではないか。
ヘッドラインは2008/08/10, 日本経済新聞 朝刊