かつて信者と呼ばれる熱狂的顧客に支えられたアップルも、iPodのヒット以降は普通の消費者が相手になった。多少のしくじりなら「アップルらしい」と笑って許してくれる信者顧客(エヴァンジェリスト)ばかりではなくなっている。
「iPhone3G」とともに登場した「モバイルミー」。1カ月以上がたつが品質は安定せず、事実上の料金返還を繰り返す。次々とトレンドを生む躍動感がアップルの持ち味だが、iPodナノの過熱問題とともに同社の実力への疑問が改めて浮上している。
スティーブ・ジョブズCEOは、2006年にはグーグルのエリック・シュミットCEOを取締役に迎えるなどネット重視をアピールしてきたが、IT業界では「ジョブズ氏はパソコン時代の人。ネットは不得意」と囁かれている。
完ぺき主義者のジョブズ氏にとってネットは唯一の泣きどころで、モバイルミーの不具合はなおさら痛い。
8月はじめに社員に送ったメールで、ジョブズ氏は 「ネットサービスについては学ぶことがまだまだある」「iPhone3Gやアップ・ストアと同時にモバイルミーを立ち上げたのは間違いだった」と、氏にしては珍しく反省の弁を綴っている。
「今年末までに誇れるサービスにする」(ジョブズ氏)というモバイルミー問題が尾を引けば、ブランドへの信頼も揺らぐ。存在感が増すにつれ、アップル経営の難易度も上がった。
ヘッドラインは2008/08/21, 日経産業新聞