パソコン向け電子雑誌「SooK(スーク)」を9月末に休刊する小学館のサイト支配人の大家正治マーケティング局ネットメディアセンター課長に敗因を聞く。
日経産業のインタビュー。
―会員数が伸び悩んだが、どんな誤算が?
「1年間で1万人の有料会員獲得を目指したが、10分の1も集まらなかった。紙の雑誌をパソコンに持ち込む実験として質にこだわり、費用もかけた」
「紙と同じものをパソコンで読むことが求められていなかったようだ。独自コンテンツが売りものだったが、既存雑誌のブランドがないところから始めるのは予想以上に難しかった」
―月額787円という料金に原因はなかったのか
「値段の高低より課金システムが障害となった。カード番号を打ち込んだり本人確認をしたりするのが面倒だという人が多い。携帯電話は暗証番号一つで課金サービスを申し込めるのに比べ、パソコン課金の改良点は多い」
―「田舎暮らし」などテーマ設定に工夫を凝らしていたが
「『サライ』や『Lapita』など得意とする中高年読者を狙ったが、パソコンになじみが薄く、コンテンツに至る壁が高かったということ。内容は好評でスークのコンテンツから漫画や単行本が出版できたという副産物はあった」
―パソコンで雑誌を読むスタイルは広まるか
「ページをめくる方式は最初こそ面白いと受け入れられたが、読者には雑誌という形へのこだわりはそれほどない。縦書きにこだわったが、ネットには横書きがなじむのではないかとか、もっとサクサク読めた方がいいという意見もあった」
「毎週2誌ずつ更新する月刊誌の形式をとったが、ネットで月1回は間隔が長い。毎日数ページずつ更新する方法もあっただろう」
―電子雑誌への取り組みはこれで大きく後退するのか
「1年3カ月やって、電子雑誌のいい点と悪い点が見えてきた。ネットの世界は突然、人気が爆発する可能性もあるので、刊行は今後も続ける」
「ただ、次の電子雑誌はスークとは全く違うスタイルになるだろう。(1)紙の雑誌のやり方を持ち込むのではない(2)課金方法を再考する(3)対象年齢はスークほど高くない、という方向だ。ブログなど自ら情報発信したい読者を活用するのも手だと思う」
ヘッドラインは2008/09/22, 日経産業新聞