好きな馬は赤兎馬、座右の銘は天下三分の計。歴史に詳しい才色兼備の「歴史アイドル(歴ドル)」が人気だ。歴史関連イベントなどではひっぱりだこになっている。
歴ドルが誕生してきた背景には、三国志や戦国時代をテーマにしたゲームや漫画をきっかけに原作本を読み始め、歴史通になる女性が増えていることが挙げられる。
歴史書の肖像画ではいかつい風貌の武将も、ゲームの世界では現代風の美形に仕立てられ、キャラクター設定が女性の心をつかむ。
三国志を題材にした「真・三國無双」、戦国時代が舞台の「戦国無双」の発売元のコーエーによると「女性購入比率はいまや3~4割にのぼる」
歴史専門書店の時代屋神田小川町店では2006年のオープン当時には2割だった女性客比率が直近では4割強になった。
今年、女性に一番人気の武将は石田三成という。
「男性は豊臣秀吉など天下人を好む傾向があるが、女性はゲームの世界での見た目だけでなく、その武将の生き様も重要。片倉小十郎のような忠臣の人気が高い」(同店女将の宮本みゆきさん)
10月27日夜、新宿で開かれたトークイベント「三国志ナイト」では、諸葛孔明に扮した歴ドルの美甘子(みかこ)さん(24)ほか、三国志愛好家のタレントらが集まって、三国志にまつわる蘊蓄話が繰り広げられた。約50人を収容する会場は立ち見客が出るほどの盛況。
美甘子さんは雑誌のグラビアなどの仕事をしていたところ、今夏初めて歴史イベントに呼ばれ、出演してから歴ドルと呼ばれるようになったという。アイドルって呼ばれる人は世の中にたくさんいるけれど、得意分野を生かしていかないと、この世界では生き残れない」と美甘子さんは話す。
歴ドルファンの24歳の男性会社員は「テレビで人気のおばかタレントとは違う知的なところも魅力的」という。
歴ドルは容姿だけでなく、歴史ファンに知識が認められるのが条件。歴ドルの名付け親といわれるアパレル通販の赤兎馬の柄澤隆志社長は「自称は許されない」と言い切る。求められる知識は、一夜漬け程度ではおぼつかない。
三国志派の歴ドルとしては小日向えりさん(20)の人気が高い。現役の横浜国立大の学生で、「理想の男性は趙雲。文武両道でもおごらないところなど異性として魅力を感じます」と話す。小日向さんは「レッドクリフPartI」の試写会イベントに呼ばれ、自分でデザインしたコスプレ衣装も披露した。
小日向さんのファンの半数は女性で「歴史ファンはディープな人の集まり。そんな人たちを前にして歴ドルなんて呼ばれていいのかと思いましたが、意外と喜んでくれてほっとしています」と語る。
ヘッドラインは2008/11/05, 日経MJ