アニメから生まれた中国の日本語熱

「日中国際交流年」の今年、東京都内で日中両国の青年が互いの国の歌を歌うイベント「日中青少年歌合戦」が行われた。そこに見える日本のアニメパワーのすさまじさを朝日新聞文化欄が伝えている。竹端直樹記者の署名記事。

北京外語大を卒業したばかりの女性は「聖闘士星矢」「新世紀福音戦士(新世紀エヴァンゲリオン)」と出会いアニメ声優が夢で、来春日本の声優学校に留学予定。歌った曲は桃井はるこの「WONDER MOMO-i」だ。北京大学在学中の青年は「灌籃高手(SLUM DUNK)」のテーマソングからアニメやJポップに興味を持った。
早稲田大学非常勤講師の劉文兵さんによると、中国で「鉄臂阿童木(鉄腕アトム)」が放映された79年以降「聡明的一休(一休さん)」「龍珠(ドラゴンボール)」が中国の子供たちを魅了した。しかし最も影響が大きかったのは「盗版(海賊版)」で、中国語訳の字幕スーパーでは感情移入ができないと日本語を覚え始めた事情があるようだ。

中国で日本語を学ぶ人口は約68万人(2006年)で1998年から40万人以上増加した。
しかし今の中国のテレビから日本のアニメが流れることはほとんどない。
2006年9月から国家当局が国産アニメ保護の名目でゴールデンタイムの外国アニメを締め出した。事実上の日本アニメの放送禁止だ。
実は「民主主義の基礎である自由な発想と自分の選択が日本アニメにあることを見て取った中国政府は、青少年の精神形成に与える影響を懸念したもの」であることが真相のようだ。
友好交流年前に取られた皮肉な結果に、長い目で見ると日本語を学ぶ中国青年は減ってゆくかもしれないと、この記事は結んでいる。

2008/12/10,朝日新聞東京版朝刊

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