ネットベンチャーへの出資細る

収益力の低いネットベンチャーにとって、新サービス開発や事業拡大のために必要な資金を調達できるベンチャーキャピタル(VC)や、新興株式市場からの資金調達が厳しくなりつつある。
ネットベンチャーが上場で得た資金で他社への出資やM&Aを積極化してきた時代も今は昔。かつてのインデックス・ホールディングスやサイバーエージェントなどが有望なネット系企業を発掘し、出資や業務提携によって育成する“拡大再生産”の歯車が止まりつつある。

「今年に入って、ベンチャーキャピタルからの出資話がぱったりと減った」
イラスト特化型SNSを運営するピクシブの片桐孝憲社長は話す。
利用者が書いたイラストを共有でき、高い支持を集めている。片桐社長は「以前は事業モデルもろくに聞かずに、『出資させてくれ』といっていくるVCの電話がすごかった」と環境変化に驚く。

2008年の新規上場社数は前年の半分以下にとどまり、グリーの前の大型ネットベンチャーの上場は2006年9月のミクシィまでさかのぼる必要がある。
グリーに1億円を出資したインフィニティ・ベンチャーズLLPの共同代表パートナーである小林雅氏は「国内の銀行系VCは景気に連動して出資を決めており、景気動向によって投資意欲が一気に冷える」と指摘する。世界景気の低迷で、新たなビジネスが生まれにくい環境になることに警鐘を鳴らす。
ミクシィも上場時に得た資金を「将来のM&A案件のために」(笠原健治社長)と、20億円分の日本の国債を購入に充てた。「本業とのシナジーを生み出せる企業が見当たらない」として出資を控えている。

「大手サイトに広告が集中する傾向が顕著になっており、中小ネットベンチャーを取り巻く事業環境は厳しい。サービスの成熟化で課金事業なども伸び悩んでいる」(国内証券の引受担当者)。このため「新興市場低迷も影響し、積極的に上場しようというところは減っている」という。独創的なアイデアを事業に昇華させるベンチャーを生む土壌が崩れつつある。

2008/12/18, 日経産業新聞より

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