瀬戸際の制作会社

広告収入の大幅な落ち込みで、テレビ局各社の業績は不振を窮めている。
利益確保のためになりふり構わぬ各局が番組制作費の削減に手をつけ始めた結果、制作会社にしわ寄せが来ている。

週刊ダイヤモンド12月6日号「民放114局 経営苦境度ランキング」で既報ではあるが、週刊東洋経済12月27日ー1月3日合併号のスペシャルレポートで、制作費削減問題をを取り上げている。
今年春のフジテレビ「ザ・ノンフィクション」の予算75%カットが制作会社に通告されたが、全日本番組製作者連盟の抗議で削減幅は減少した。それでも制作費は50%カットされた。筆者も昨日12月21日放送を見たが、ほぼ再放送に近い編集と新録映像数分で、制作費をほとんどかけていないのがわかる。いっそのこと「再放送」とはっきり言ってもらいたい気持ちだ。

そのような厳しい条件を放送局から突きつけられても、制作会社には簡単に断れない理由がある。
・放送免許を独占しているテレビ局なくしては、制作会社がいくら良質の番組を作ろうとも視聴者に届かないこと。
・制作会社のほとんどは中小・零細企業で、1件百万から千万円単位の仕事を受注できないと経営が逼迫すること。
・採算が合わなくて断った場合、局プロデューサーから「次は発注しません」と言われるのが怖い。
・番組の著作権を局が持つ場合が多く、制作会社が2次使用して収益を上げる機会がないこと。

2009年4月の番組改変期にはいっそうの制作費削減が予定されており、制作会社が苦境に追い込まれるのは必至の情勢だ。
「こんな状況でもテレビ局社員の平均年収は1000万円以上ある。テレビ局は本当に厳しいのか。」(制作会社社長)
制作費の大幅カットで番組の質の低下も懸念され、リサーチや取材に時間がかかるドキュメンタリーや情報番組でヤラセや捏造が起こりかねない。
「今だって局や視聴者に気付かれていないものは意外とあるが…」(前述の社長)と、警鐘を鳴らす。
民間放送連盟の弘瀬会長は「局と制作会社は二人三脚でつながっており、苦しいときこそ連携すべき」とコメントするが、制作会社の業界団体幹部は「言葉で言うのは簡単。実際の行動で示して欲しい」と不満を募らせる。

番組の質の低下が視聴者のテレビ離れを加速し、さらに広告収入が減少する負のスパイラルの瀬戸際にある。

週刊東洋経済12月27日-1月3日合併号より

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