「キンドル2」の登場で拡大が見込まれる米国の電子書籍市場に対し、日本ではソニーやパナソニックが相次ぎ専用読書端末の生産を停止し、コンテンツの“出口”が狭まっている。
ネット配信も、コンテンツが豊富とはいえず、出版界の電子化対応の遅れが目立つ。
電子書籍配信サイト「タイムブックタウン」が3月に解散する。主な配信先だったソニーの専用端末「リブリエ」が2007年5月に生産を終了したためだ。
パナソニックも2008年3月末で読書端末「ワーズギア」の生産を中止した。同社と角川モバイル、TBSが2006年10月に設立した配信事業会社「ワーズギア」は、2008年9月で同端末向けの配信を停止した。
国内の専用端末やパソコン向けの電子書籍市場は伸び悩んでおり、インプレスR&Dによると、2007年度は72億円で横ばい。2008年度も伸びる要因が見あたらない。
日本の専用端末はキンドルのような通信機能が付いていないため、パソコンでコンテンツをダウンロードしなければならず、使い勝手が悪かった。また、アマゾンのようなネットで電子コンテンツを提供できる「図書館」的な事業者がいない。
出版社側の事情では「紙(の書籍)が売れなくなる、との懸念が強い」と関係者は話す。
アマゾンジャパンは書籍の通販で、本の一部を消費者がサイトで立ち読みできるサービスを展開しているが、それさえも、出版社の協力を得るのに苦労した。
出版市場は雑誌・書籍を合わせて2兆円余り。それに対し電子書籍は2007年度で携帯電話向けを合わせても355億円と小さい。米国に比べ書店が全国に立地しており、依然として紙媒体が中心だ。
パソコン向けは課金制度がネックとなり、利益の出る事業モデルが見えていない。「機器とコンテンツの両輪がうまく整わないと電子書籍は普及しない」(デジブックジャパン)
通信機能、課金制度、端末の普及と三拍子そろっているのは、日本では携帯電話ということになる。
携帯向け市場は倍々ゲームの勢いで拡大しているが、コミックが229億円を占め、文芸はわずか26億円にとどまる。小説や文芸など「文字もの」は「売れない」というのが定説になっている。ゲーム端末への配信など、専用端末に次ぐ新たな“出口”を模索しているが、市場形成の道のりは長い。
2009/02/12, 日経産業新聞より