滝田洋二郎監督の「おくりびと」が第81回米アカデミー賞の外国語映画賞を受賞した。
同作品を配給する松竹の株価は23日、市場全体が軟調な中、受賞発表後に急騰。前週末終値より98円高い744円で引けた。終値ベースで700円台を付けたのは、ほぼ1年ぶりとなる。
しかし、この株価も市場の「ご祝儀」買い的な意味合いが濃厚なようだ。
受賞した滝田洋二郎監督は「松竹は伝統的に明るく人間味のあふれる作品を作ろうとする傾向が強い」と話す。「おくりびと」は松竹にとって久しぶりの本領発揮となったと同時に課題をも露呈させた。
「うちは心に訴える作品は得意だが、懐に訴える作品は苦手」(油谷昇取締役)松竹の2008年8月中間期の連結決算の映画事業は営業赤字。「おくりびと」の大ヒットだけでは一発逆転とならない。
それも同作品はTBSを幹事社とする製作者委員会方式で作られているため、配給と一部出資にとどまる松竹にとって収益拡大への貢献率は低い。
製作者委員会方式の作品が多くなり「テレビ局や制作会社からの持ち込み作品が増えた。社員の企画経験や自信が減ってしまった」と、制作能力の低下を危惧する声がある。
こうした映画事業の収益立て直しに、松竹は2009年は本気で取り組む姿勢。
映画配給事業では年間本数を前年比約3本少ない15本に絞り「一本一本きちんと売っていく」(野田助嗣専務)
3月には京都撮影所をリニューアルオープンし、将来のデジタル化にフル対応した撮影所で、京都市や立命館大学の学生と産学連携で次世代の撮影技術の研究も始める。
松竹にとっては今後公開予定の「鴨川ホルモー」「カムイ外伝」など自社幹事作品のヒットこそが映画事業の王道であり、悲願であることは変わらない。
2009/02/24, 日経産業新聞より