総務省はアジア地域の既存の光ファイバー海底ケーブルを国費で借り上げ、インドを経由して中東やアフリカにも達する高速通信回線網の整備に乗り出す。
インド向けやインドを経由して中東やアフリカなどに情報を流す光海底ケーブルの容量には限りがあり、情報交流の障害になっていると判断した。新たなケーブルを建設すると膨大な費用がかかるため、既存回線を活用する。周辺国の政府や事業者から借り上げて新事業の専用回線に仕立てる。
アジアを起点とする地域間の情報の流れを活発にしてデジタルデバイドを縮小させ、国際的な共同研究事業やアニメや音楽など日本発のコンテンツの市場開拓を促し、景気低迷下での成長力の底上げ効果を狙う。
新事業として当初は大学間の共同研究を想定。軌道に乗った段階でソフトウエアの共同開発、日本アニメなどの分野の配信専用線と整備を進めたい考えだ。インドを手始めに、中東やアフリカなどへもインドを経由した形で広げていく。連携を通じてIT分野の有能な人材が日本に流入する効果も期待する。
鳩山邦夫総務相の私的懇談会である「ICTビジョン懇談会」(座長=岡素之住友商事会長)が4月にまとめる中間報告に、新事業「デジタルシルクロード構想」を盛り込む。総務省は詳細な調査を含めた必要経費の積算などを急ぎ、3年後の実用化に向けて早期の予算確保を目指す。
費用は最大で数十億円になるとみており、国の一般会計と電波利用料から充てる。
日本と中東やアフリカを結ぶ回線の許容量はいずれも毎秒58ギガバイトで、北米ルートの150分の1程度にとどまる。アジアを経由するパイプを太くすることで、コンテンツ配信企業にはコスト削減に役立つ面がある。利用者にとっても、ネット環境の混雑緩和や情報格差の縮小につながりそうだ。
2009/03/26, 日本経済新聞 夕刊より