USENが不採算事業の整理の一環で、動画配信事業の「GyaO(ギャオ)」の経営権をヤフーに売却することを決めた。これで有線放送以外のコンテンツ系事業からの撤退がほぼ完了する。
GyaOは2005年春、広告付き無料動画配信専門のサービスを開始した、日本の草分け。しかしヤフーも動画配信を強化、米国のユーチューブが普及し、限られたコンテンツしか見られないGyaOの視聴者は伸び悩み、広告収入が思うように伸びなかった。
宇野康秀社長は「著作権付き動画が不正に無料配信されるという想定外の事態が黒字化を難しくした。色々な意味で環境が未整備だった。始めた時代が早すぎたのかもしれない。」ユーチューブの登場が最大の誤算だったと、7日の記者会見でGyaO事業をこう総括した。
USENは90年代末から、本業の有線放送事業のために築いた同軸ケーブル網を生かしてネット関連事業に力を入れてきた。だが電話網や光ファイバー網によるネット接続が浸透すると、USENのネットインフラ事業は伸び悩む。
2006年に人材サービスのインテリジェンスを子会社化するなどの企業買収で、2007年半ばから有利子負債がかさんだ。このため事業売却で得た資金を、借金の返済に充てる財務リストラを2007年後半から開始した。年間20億-30億円を垂れ流していたGyaOの売却にも踏み切ることにしたが、買い手がつかず、動画のテコ入れが課題の一つだったヤフーが買い手として残った形だ。
最大のライバルであるヤフーへの売却は関係者には精神的抵抗も強かったようだ。
「一つの時代の流れを作ることはできたと自負している」と感慨を見せた宇野社長の表情にはそれほど悲そう感がなかった。宇野社長自身は収益よりもGyaOというブランドが構築できるかどうかに関心があったのではと思わせた。
今回の売却で合法動画配信サイトでは国内最大手と2位が連携する結果となり、消滅の危険もあったGyaOは国内最大手として存続の道が開けたともいえる。
今後のUSENはどうなるのか。有線放送事業に集中するのか、再びネット企業を目指すのか。宇野社長のビジョンが問われることになる。
2009/04/08, 日経産業新聞より