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熊谷組、ドラマ「黒部の太陽」で広告効果は100億円、宣伝費ゼロ

フジテレビジョンが開局50周年を記念して3月に放映したドラマ「黒部の太陽」は、後編の視聴率は18.6%と善戦。工事を担当した熊谷組の社名もテレビなどに出る機会が増えた。その裏には企業ブランドの向上を狙った周到な戦略がある。
番組中には社章の付いたヘルメットなどの小道具、役者のセリフなど至る所で熊谷組が露出した。「プロダクトプレイスメント」と呼ぶ広告手法で、経費はドラマ撮影に協力した人件費のみで広告費は実質ゼロ。広告業界では「ざっと100億円」の広告効果と言われている。

「黒部ブーム」は関西電力が持ちかけた黒部観光の振興策に協力したのがきっかけ。軟弱な地盤を突破する難工事の記録を伝えようと、2007年に黒部ダム駅で「破砕帯突破50周年記念展」を開催し、記録写真や削岩機、映画「黒部の太陽」の台本などを展示した。
社名がそのまま登場するという条件でドラマ製作への協力を求められた熊谷組では、40年前の映画「黒部の太陽」にも協力しており、二つ返事で全面支援を約束した。
トンネル図面や建設機械の写真などを貸し出し、主人公らがかぶる社章入りヘルメットも復元して提供した。
広報室藤島室長自ら撮影現場に足を運び演技にアドバイスしたのを始め、主人公のモデル、熊谷組笹島班の班長だった笹島信義氏(現・笹島建設会長)と熊谷組の大田弘社長も撮影現場を訪問した。今回のドラマ放送を機に、90歳を超える笹島会長の健在ぶりが注目され「難工事を指揮した体験談を聞きたい」との依頼が相次いでいる。
工事現場の班長を務める主人公が難工事を成し遂げる筋書きは、社会インフラの整備を担う建設業界のイメージ向上にもつながり、当時の熊谷組の工事実績も再評価された。黒部ダムではドラマを題材にした展示イベントを今も開催中。

熊谷組は2009年3月期の連結業績が最終赤字と経営環境は厳しいが、「困難を突破した先輩の精神に学ぼう」と社内は前向きだ。

2009/04/30, 日経産業新聞より

ドラマ原作「黒部の太陽(信濃毎日新聞社版)」(Amazon)


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