パイオニア、薄氷の再建始動

パイオニアは28日、公的資金の資本注入制度の活用やホンダからの出資受け入れ、三菱電機との提携強化などを骨子とする再建策を発表した。薄型テレビ事業の中止を決めてから75日。経営不安から株価がじりじりと下落する局面での再建パートナー探しは困難を極めた。

パイオニアは昨年から三菱東京UFJ銀行を主力取引銀行とするホンダに出資を要請していたが、4月下旬にホンダが引き受けに前向きな姿勢を示していることが伝わってきた。
パイオニアはトヨタ、ホンダとそれぞれ年間1000億円程度の取引高で拮抗しており、かつてはトヨタ首脳が「ホンダと組むなら、取引は続けられない」と話していた経緯がある。
最後のハードルはホンダと並ぶ有力取引先であるトヨタ自動車の意向だった。
トヨタは事前に出資には応じない方針を伝えていたが、トヨタの渡辺社長がホンダと資本提携しても取引を継続する意向を表明し、ようやく再建に必要な条件がそろい、パイオニアの小谷社長は28日の記者会見に臨むことができた。

リストラを実行するには新たな資金が必要だが、投資ファンドや事業会社との増資引き受けを巡る交渉は進まず、公的資金を活用するにも「事業提携など新たな枠組みが前提」(幹部)となりそうだった。しかし、事業提携を打診した電機メーカーなどは一様に「先に身ぎれいにならないと組めない」とにべもないまま株価は下落を続ける。
市場では経営不安説がたびたび浮上したが、ホンダが出資の意向を示すと事態が動き始めた。
28日には三菱電機とも技術提携を強化する方針を表明。事業面での協力関係ができあがったことを示した。今後この関係を軸に再建を進める方針で、資本注入の前提となる産業活力再生法の認定を受けたい考えだ。
リストラを進める形だけは整えたが、新たな課題はホンダや三菱電機との関係だ。成果を上げることができなければ、資本注入を受けるための方便とのそしりも免れない。
発行済み株式数の増加により、株式が希薄化するリスクも高い。公的資金の注入を受けた企業として監視の視線も強まる。

小谷社長が「過去、当社は3回、4回とリストラを進めてきたが、なかなか成果を出せなかったのも事実」と自身も認めるように、今回の再建策は何度も市場を裏切ってきたパイオニアが再生するための最後の機会であり、しかも出発点に過ぎない。
ドライバーの腕が確かでなければ無事に再建というゴールに到着することはできない。

2009/04/30, 日経産業新聞より

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