凸版印刷と紀伊国屋書店は1日、図書館運営支援や書店の店頭販促などで業務提携すると発表した。凸版は紀伊国屋の大学向け営業網を活用し、ICカードやeラーニングシステムなどを拡販する。
凸版は2年前から大学向けに営業をしてきたものの、技術や製品ごとに担当者が分かれていたため、一枚岩の営業ができなかったという。
売上高の3割強を大学関連で稼ぐ紀伊国屋は、全国に300人以上の営業担当者を配している。この営業網を活用し大学側の要望や課題を把握したうえで、総合的なデジタルサービスを提案する狙いがある。少子化で大学の経営環境が厳しさを増す中、体制を固めた2010年度には20大学での採用と10億円の売上高を見込んでいる。
ライバルの大日本印刷も出版・教育業界との提携を急ピッチで進めている。丸善の買収を皮切りに、図書館流通センター(TRC)、ジュンク堂書店を傘下に収めている。さらに主婦の友社やブックオフコーポレーションなど出資先を増やし続けている。TRCが運営する図書館ではICタグの活用で来館者の大幅増や運営の効率化につながった成功例も出てきたという。
凸版・大日本の両社とも、出版や教育機関は多様な自社デジタル技術を活用できる舞台とみている。デジタル技術の応用という方向性は両社共通で、その思惑がぶつかるのが図書館であり、書店チェーンだ。
100年以上競合関係にある両社がここでも火花を散らすことになりそうだ。
出版各社は新刊を相次ぎ投入したが、書店の棚に並ぶ期間が短くなり、返品率が高まる結果になっている。雑誌は広告収入の減少が目立ち「毎月20誌以上が休刊している」(出版科学研究所)という状態。
大手印刷にとって、出版物の印刷を受注するだけではビジネスの見通しが立たない。今までの「裏方」から出版業界のプレーヤーに転身し、出版市場の立て直しに動き出している。
2009/06/02, 日経産業新聞より