新年のご挨拶

明けましておめでとうございます。
いつもご覧いただきありがとうございます。

昨年は無料TV放送の後にビデオグラムや関連商品で回収するという製作委員会方式でのスポンサー集めも苦しいところとなり、製作本数の減少などが見られました。しかし劇場公開やライブイベント型でファンを吸引し、その後のセールスに結びつけようとする新しい動きも見えてきました。
原作コンテンツ自体との蜜月が長く続けば良いのですが、ゲームやラノベの原作も漁り尽くした末に原作の寿命自体を縮める結果も散見されるようになりました。その反省・反動からか成否はともかくオリジナルアニメが増加する方向に向かっていることは幸いかもしれません。

日本が持つ漫画、アニメ、ゲームコンテンツを経産省あたりが中心となり輸出の道を開こうと必死ではありますが、世界一という日本のコンテンツの謳い文句も、その実態は怪しくなってきています。
コンテンツ育成面では国内側の補助事業は不十分であり、経済振興なのか文化振興なのか経産省と文化庁の意図するところには齟齬が感じられます。さらには東京都のように制作者を萎縮させるような、警察公安官僚の実績作りを狙った条例が足を引っ張り、コンテンツ業界が内憂外患に陥らぬことを願うばかりです。

地方自治体ではアニメで街おこしを狙った企画が雨後の筍のように出てまいりましたが、地元にしかないオリジナルな歴史、風土をベースに持たないキャラクターは淘汰されることでしょう。ご当地間競争が熾烈になる中でどのようにロングテールな取り組みが出来るのか、聖地巡礼ファンをつなぎとめるのは簡単ではないでしょう。
アニメを産業育成分野に位置づけた杉並区も事業の全面見直しを余儀なくされたように、成果を数値的な検証しフィードバックすることなく自治体担当の自己満足で予算を消化するような事業は、首長のみならず住民から支持されるはずがありません。今年は都内では近隣の練馬区、三鷹市などの取り組みに変化が現れるか、注目されるところです。

今年がアニメ業界、関連業界にとって良い年であるばかりでなく、ご覧いただいた皆様にも良き年でありますよう願っております。乱文、失礼いたしました。

作品タイトルとともに振り返る、ゴンゾの株価チャート

債務超過を解消できず、東証マザーズの管理銘柄となったゴンゾ。思いつきで株価チャートに作品タイトルを入れてみた。上場から今年の4月まで5年弱の週足チャートだ。
この銘柄の場合、タイトルの評価に連動した直接の株価変動は無いようだ。

※チャートをクリックすると拡大します

GONZO Chart

上場来最高値は、2005/1/12に付けた1,350,000円(チャートは1:2株式分割修正後の675,000円)
上場廃止猶予期間明けからの連日ストップ安で、4月9日後場は2,940円の売り気配のまま。

以下は筆者の推測を含みますので、ご承知おきください。

最高値の0.4%に沈んだ株価が下げ止まるメドは見えない。
倒産による上場廃止とは異なるので、直ちに株主資本がゼロになるわけではない。しかし自動的にロスカットに動く機関投資家の見切り売りは続くはずなので、株価の落ち着く先はわからない。
この先も連日のストップ安が続けば、値幅制限額から計算した株価は理論的には下記のようになる。さすがに途中の水準で買いが入るだろう。

4/10 2,540円(中略)4/17 1,040円(中略)4/27 360円(中略)4/30 200円(中略)5/11 10円、5/12 1円

作品タイトルは「現代視覚文化研究 3(三才ムック)」[Amazonへのリンク]を参考にさせていただきました。

4月10日追記
本日の前場でストップ安の2,540円で寄り付いた。個人投資家が下値を拾う動きもあるようだ。

火垂るの墓(実写版)が都優良映画の推奨を受けるまで

東京都には「青少年健全育成審議会」と呼ばれる青少年対策をメインにした諮問機関がある。
ここで例の「不健全図書」の指定もするのだが、同時に優良図書の推奨も審議している。
6月に開催された第577回の審議会では、実写版の「火垂るの墓」が優良映画の推奨を諮問されているが、この審議のもようを議事録で読むことが出来る。

議事冒頭では事務方による社会情勢の報告があるのだが、ちょうど秋葉原の連続殺傷事件のあとで、その話題のほか児童ポルノ禁止法の改正案についても予断を与える発言が興味深い。
実写版「火垂るの墓」の推奨審議過程では、高畑勲のアニメ版の印象が強いらしく、どうしても比較して劣る、子供には難しい、悪くはないがという意見が目立つ。
しかし強いて推奨に反対するほどでもないから、消極的賛成との印象。
事務局が出した議案を一応論議した後、反対なしで議案が成立。有識者会議のお墨付きが与えられる過程が見て取れる。

そのまま引き続き「危険な愛体験Special 2008年7月号」(つり案内社)を閲覧しながら不健全図書に指定する過程がシュールだ。
自主規制構成団体からの意見では、暴力的性交、擬音、異物挿入シーンなどが一般作としてはアウトで、成人指定していればセーフ。
子供が買いやすいかも審査ポイントで、680円と高額(?)だから価格はギリセーフらしい。しかし誌面に関係のない「愛読者プレゼントがバイブレーター」が問題とする意見があるのは不思議。

この審議会で「不健全図書」に指定され、かつ「成人向け」でないコミックや雑誌は取次が扱わなくなるため、事実上の発禁(流通中止)になる。ネット書店でも扱わず(少なくともAmazonでは扱わない)、ある意味「幻の図書」になるのだ。
直近では山本直樹のコミック「堀田 HOTTA 3」が8月11日付けで不健全図書指定を受けたので、流通が止まっている。ファンの方はお早めに。でも見つかるかな…神田なら大丈夫か?

余談だが第579回の「都民からの申出一覧」に「コミックマーケットについて」「同人誌即売会について」が記載されているが、果たして苦情なのだろうか。

参考リンク:東京都青少年健全育成審議会 会議資料・議事録 第577回